クリーニング店を経営しながら、訪問介護の夜勤を始めたEさん。介護の仕事におもしろさを感じて、副職として関わり続けます。
週2日だった勤務はいつの間にか週4日に。夜勤のオペレーターという重要な仕事を任され、のめり込んでいきます。
*E・Uさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
E・Uさん(53歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…14年
●介護の仕事に就く前…幼稚園教諭、乳酸菌飲料販売、保険会社営業、クリーニング店経営
●介護業界での転職回数…2回
●いままでの勤務先…訪問介護事業所、小規模多機能型居宅介護
●保有資格…介護福祉士、ケアマネジャー
介護の仕事で「人」を学ぶ
週2回、夜9時から深夜1時の夜勤に入ることになった訪問介護事業所は、大手が経営していました。
当時のその会社は熱気にあふれ、大卒の若いスタッフが「どういう介護が一番いいのか」を常に考え、実践していました。
私のように、他業界から参入し、週8時間しか働かないようなパートにも、社員と同じように接してくれ、できないところはフォローしてくれる。とてもありがたかったですね。
実際、若いスタッフが同じ利用者さんのところに、それぞれ4~5回ずつぐらい付き添ってくれたでしょうか。
おかげで、オムツ替えの仕方、薬の飲ませ方など、無理なく手早くできるようになりました。
担当エリアは自宅から車で30分ほどのところ。自宅の近くだと、クリーニング店のお客さんが利用者さんになってしまう可能性がありましたから。通勤時間は長くても、家から離れている方が安心だったんです。
私が担当するエリアは高級住宅地で、昔から住んでいる学歴の高い方や、かつては事業をやっていた方など、要するにお金持ちの方が多かったですね。
印象的だったのは、とても頑固な男性の利用者さんです。その方は脳梗塞で右半身が麻痺になり、身体が動かないことにいつも憤っているような人でした。
奥さまに先立たれ、ひとり暮らし。ヘルパーがいないと生活ができないのですが、そのこともきっと腹立たしかったのでしょうね。
「偏屈なおじいちゃんで大変だけれど…」と、事業所の管理者は私を気遣ってくれました。
でも、その利用者さんの気持ちもわかるな、と思ったのです。
だから、いやだと思わず、穏やかに暮らしていただけるように、つたないながらも介助をさせていただきました。
もうひとり、印象深かったのは、とても上品な女性の方です。山の手の大きな敷地の中に、息子さんのご家族と住んでいて、その方は1LDKのきれいに整った離れで生活をされていました。
車椅子なので足は不自由ですが、認知症はなく、とてもしっかりしていらして。
庭に咲き乱れたまんさくの花を見ながら、「2月の寒い日にまんず咲くからまんさくの花と言うのよ」など、いろいろなことを教えてくださるのです。
神戸のご出身で、神戸のお友だちに電話して楽しそうに笑ったり、私たちにもとても気持ちよく接してくださって。
年を取ったらこの方のようになりたいと尊敬していました。
介護の仕事が自分にもできるのかと最初は少し自信がなかったのですが、スタッフだけでなく、利用者さんから感じること、教えていただくことが多くて。この仕事にハマりそうだと実感する日々でした。
随時対応型訪問介護看護で、緊急時対応の夜勤オペレーターに
ただ、1年半やったところで、私を誘ってくれた管理者の友人が、この事業所を辞めてしまったのです。
そのあとの管理者とはなんとなくウマが合わず、無理して働かなくてもいいかと思い、私も辞めてしまいました。また、クリーニング店の経営に専念する形になったのです。
しかし半年後、またその友人から連絡があり、「別の会社の訪問介護事業所に就職したのだけれど、今度はこちらに来てくれない?場所はそれほど遠くないわよ」とのこと。こちらで週1回、4年間ほど、訪問介護の仕事をしました。
その後、「夜勤のオペレーターをやってほしいの」と言われオペレーターになることに。これは結構大変でした。
その事業所は、随時対応型訪問介護看護をやっていて、夜中に大きな変化があったときや緊急時には、利用者さんやご家族から電話があります。
「ベッドから落ちた」というものから、「トイレに行きたい」というヘルプまで。電話の内容はいろいろでした。
利用者さんやご家族がお困りのことを電話でお聞きし、対応してくれる社員に伝えて、ニーズを満たすのが仕事です。勤務は夜10時から朝6時までで、1時間の仮眠時間はあるのですが、あとは朝までビッシリ。
電話がないときはパソコンの入力作業もあるので、休む暇がなく、家に帰るとバタンキューでした。
なかなかやれる人がいないからと、週に2日くらいから始めましたが、そのうち4日も入ることになりました。
仕事としては、やりがいがあるのです。でも、とにかく体がしんどい。
それに、その頃ケアマネジャーの受験の要件を満たすことができたので、ケアマネジャーとしての仕事をしたくなって。クリーニング店の経営、週4日の夜勤をしながら、ケアマネジャーの試験を受けることにしたのです。
次回は、クリーニング店を経営、夜勤のオペレーターを続けながら、ケアマネジャーとしても活躍するEさんの様子をお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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