東京の訪問介護ステーションでサービス提供責任者として働いていたN・Eさん。しかし今回も持病が悪化してしまい退職することに。再び実家のある群馬県に戻り、特養でショートステイの生活相談員、ケアマネジャーを経験。介護業界で7回の転職を経て、いよいよ自分らしく働ける職場にめぐりあいます。
*N・Eさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
N・Eさん(36歳)の転職経験
短大の福祉学科を卒業後、2年間は飲食店のアルバイト生活
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実家のある群馬県の介護老人保健施設の認知症専門棟で1年勤務
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実家からより近い老健に転職、5年間勤務
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介護福祉士取得のための専門学校で教員助手として1年間勤務。激務で体を壊し、退職
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東京の老健に4年間勤務
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ジョブローテンションを活用し、同じ法人でさまざまな職種を半年間経験
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訪問介護ステーションにサービス提供責任者として2年間勤務
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群馬県に戻り、社会福祉法人に就職。最初の1年はショートステイの生活相談員。次年度から特別養護老人ホームで、念願のケアマネジャーとして勤務
ケアマネでなく生活相談員から
群馬県での職場は、インターネットの求人サイトの会員になって、くまなく探しました。知り合いにも相談しました。私は県の介護福祉士会のメンバーでもあったので、会の人のつながりも多く、個人的にもいろいろな情報をもらえました。「あの事業所で生活相談員を募集してるよ」「新しくオープンするグループホームで施設長を探しているよ」など、ほかではなかなか得られない情報をどんどん伝えてくれるので、ありがたかったですね。
そんな中で紹介してもらったのが、今所属している社会福祉法人でした。特養のケアマネジャーを募集していて、諸条件も、私の望みと合致しました。ケアマネの資格を取ったものの、前の職場では与えてもらえなかったポジション。今度こそ、ケアマネの立場で勉強させてもらい、自分を高め、職場や利用者さんにも貢献したいと思いました。
特養という職場にも、抵抗はありませんでした。短大を出て就職する当初は、自分には合わない職場だ、と思っていましたが、キャリアを積むにつれ、終の棲家である特養のよさが見えてきました。
「回復してもらって家に帰ってもらう」老健は、手ごたえのある職場でした。が、自分の年齢が上がってくることで、最期までの時間を静かに過ごす利用者さんに、自然に寄り添えるようになったんでしょうね。また、看取りの勉強もしていたので、特養は、学んだことを生かせる場としても魅力的でした。そのようなことを面接で話し、採用をしてもらいました。
入職してみると、特養のケアマネジャーの席はもう、埋まっていました。なぜ? しかも、その座に先にすわっていたのは、教員助手をしていたときの教え子でした。よりによって、ここで出会うのか――。大きなショックを受けました。
以前の私なら、早々に辞めていたかもしれません。でも、早まるのはやめようと思いました。私に与えられた仕事は、ショートステイの部門の生活相談員。まずは、ここで認めてもらおうと、気持ちを立て直しました。
実際、ご家族やご本人の希望を伺い、現場とつなぐ生活相談員の仕事は、私に合っていたんですね。これまでのご苦労を伺っていると、カンファレンス(ケアプランの作成などでスタッフや家族が集まって行う会議)のときにグッと来てしまって、涙をこらえるのが大変だったりして。利用者さんやご家族のために何をしてさしあげられるだろうと、これまで以上に親身になって考えられるようになりました。
そうこうしているうちに、なんと、教え子だった特養のケアマネジャーが、グループホームに異動になったのです。そして、私にポジションが回ってきました。
いつか理想のホームづくりを
今は、その特養で、念願のケアマネジャーとして働いています。まだまだ未熟な面は多いですが、学ぶことが多く、仕事はとてもおもしろい。やるべきことは山積していますが、適度にお休みもあり、地元や東京の勉強会に出たり、休息をとったりする余裕もあります。
今は、この立場でたくさん学ばせていただき、利用者さんによりよい人生を築いていただいて、最期までお付き合いしたいと思っています。教員だった経験も活かし、職場内外での研修の講師を務めることも多いです。準備は大変ですが、これもやりがいにつながっています。ようやく、自分らしく働ける場を得られたな、と感慨深いものがあります。
私には、夢があります。今の仕事で経験を積んで、やがて、自分が理想とする老人ホームをつくりたい――。淡い夢です。資金も必要だし、そうそう簡単にできることではない、というのはわかっています。できないかもしれない、いや、できない可能性のほうが高いでしょう。周囲の人たちが立ち上げるのを応援するぐらいで終わってしまうかもしれない。
でも、本当に利用者さんたちが住みやすいホームを目指して、活動していくモチベーションを持ち続けていたいな、と思います。それが、介護という仕事に就いた自分の存在意義だとも思っています。
*N・Eさんの「私が転職した理由」…
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