介護業界で転職を考えている人にとって、採用側が求める人材がどういった傾向なのかということは、ぜひ知っておきたいこと。今回は、デイサービス運営から介護サービスのフランチャイズまで、幅広い事業を展開している「いきいきらいふ」の代表取締役・左敬真さんと、管理本部長の中尾公則さんにお話を伺いました。
<取材・文 横田 泉>
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いきいきらいふSPA荒川店の店内の様子
○●○ インフォメーション ○●○
株式会社 いきいきらいふ
ケアマネジメント・居宅介護事業/訪問介護サービス/デイサービス/福祉用具サービス/いきいきらいふSPAフランチャイズ事業/人材育成・開発事業/介護コンサルティング事業
東京都台東区北上野2-6-14 3F
TEL:03-5827-7788
FAX:03-5827-7789
http://www.ikiikilife.co.jp/
約1時間半の面接のなかで「1時間分は会社を伝える」理由
いきいきらいふの選考には、一次面接と二次面接があり、二次が最終面接となります。そのなかの一次面接を担当している中尾さんは、面接の内容を次のように明かします。
「一次面接は1人に対して1時間半くらいかけるようにしています。最初の30分くらいで面接に来られた方のこれまでの経歴を聞いて、残りの1時間は当社の説明をしています。当社の創立から現在までの歴史と、これからどういう方向へ向かおうとしているのかという未来について、どういう研修をするのかといったことを、しっかりと話すようにしています」(中尾さん)
1人に対して1時間半もの時間をかけることも驚きですが、そのうち1時間が会社の話というのも驚きです。これには次のような狙いがあると中尾さんは言います。
「1時間、当社の話をするなかで、志望者の方の反応を見ているんです。目が輝くのか、うれしそうな顔をするのか、なかにはピンとこないような顔をする方もいらっしゃいます。私は面接で『この会社はおもしろい』『入りたい』と思っていただけるかどうかをすごく大事にしているので、皆さんの反応は非常に参考になります」(中尾さん)
確かに、採用するにあたって、その会社に強い思いや興味を持っているかどうかは大事なことと言えます。
ちなみに、いきいきらいふを強く志望する人には、次のような傾向があるそうです。
「当社に入りたいと思ってくださる方は、今までの介護に疑問を抱いている方が『もっと違うやり方や環境があるのではないか』と感じて来てくださることが多いです。普通、我々がサービスを受ける場合は、清潔感やオシャレな雰囲気のあるところに行きたいと考えますよね。介護以外の業界ではそれが当たり前なんですが、介護では金銭面の事情などから、それが難しい会社も多い。そうなると、介護をする人の多くは、限られた条件の中でいかに良いサービスを提供するか、という考え方になってきます。『本当はもっとこういうサービスがしたいのにできない』という方も少なくないようです。一方で、お客様は料金が(保険によって)一割負担で済んでいることもあって、『お風呂に入れればいいか』『美味しいご飯があればいいけど、なくてもまぁいいか』くらいに考えるようになってしまう。働く側にも、利用する側にも妥協が生まれてしまうんですね。そうした暗黙の前提に疑問や不満がある方が、当社の事業を知った時に『面白いな』と感じて、志望してくださるようです」(中尾さん)
いきいきらいふが目指す「質の高いサービス提供」に共感し、興味をもって来たという人は、入社後に活躍することが多いといいます。逆にその価値観が違っていると、たとえ入社したとしても、うまくいかなくなることがあるのだそうです。そのため、中尾さんは「迷ったら一次面接時の反応で決めています」と言うほど、相手の反応を大切にしていると言います。
相手の価値観を探るための30分
一次面接で1時間は会社の話をし、相手の反応を見るとのことでしたが、一方で最初の30分では具体的にどのようなことを相手から聞いているのでしょうか。
「相手の方の経歴を、学生時代から全部聞くようにしています。学生時代の就活でどんな会社を、どういう理由で受けたのかという話から、中途採用の場合はなぜその会社を辞めたのか、どうして次の会社を選んだのかなど、細かく理由を聞いていきます。人生には変化があるので、その時の選択の理由や、変化のきっかけを聞いていくと、その方のこだわりが見えてくる。そこを引き出すと、その人の性格や、大切にしている価値観がわかってくるんです。こうして見えてきた価値観を、会社の説明をする際に『では、あなたのこの価値観は、当社のこういった部分と合っていますね』とすり合わせるようにしています。そうすると、志望した方も納得感を得られますし、ミスマッチを防ぐことにもつながります」(中尾さん)
もちろんなかには、いきいきらいふと価値観が合わないというケースもあるそうです。その場合は「残念ですが、当社には適さないとはっきりとお伝えします」と中尾さん。具体的に価値観が合わないケースとして、次のような例をあげます。
「たとえば『お客様と一対一で向き合って、じっくりサービスを提供したい』という方ですと、当社はチームでサービス提供をするので、少し価値観が違うかな、と感じます。高齢化社会になり、これからお客様の数はどんどん増えていくわけですから、スタッフ全員が一対一のサービスをしていては人手が足りなくなってしまいます。一人のスタッフで一人のお客様を幸せにするより、3人のスタッフで10人を幸せにするのが、当社の考え方なんです」(中尾さん)
次回は、いきいきらいふが「採用しない人」について、より詳しく聞いていきます。
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