◆介護付き有料老人ホーム(正社員) → 小規模多機能型居宅介護事業所(正社員/常勤→非常勤)
J・Fさん(女性・36歳)
●介護付き有料老人ホーム(勤務期間:4年5ヶ月/月給手取り約22万円/ボーナスあり)
●小規模多機能型居宅介護事業所(勤務期間:1年/月給手取り約22万円/介護福祉士手当・ボーナスあり)
介護業界でのその他経験:デイサービス
保有資格:介護福祉士
家族構成:長女、長男
*J・Fさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
1回目、2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
【転職を決意したきっかけ】介護の将来をしっかり見据える事業所との出会い
地域介護の課題解決にも熱心な、社会福祉法人の社長
パートで働いていたデイサービスは、高齢者の寄り合い所のようになっていて、自立支援や個人の尊重など、介護の基本が抑えられていないことが問題だと思っていました。
もっと職員全員に介護の本質を知ってもらいたくて、「勉強会を開きましょう」と提案しましたが、あとから考えると、よけいなお世話だったのかもしれません。
短時間でも、働けば時給でお金がもらえ、そこに来たみんなが楽しければいい、という雰囲気でした。
それで全員が納得しているのだから、「合わない」と思っている私が辞めることにしたのです。
次に働くならもっと「あるべき介護の姿」を追求できるところがいい、と思っていました。
そんなときに知り合った社会福祉法人の社長さんは、介護の勉強もしっかりされ、地域の福祉・医療関係者との関係も深い。
地域介護の「今」の課題解決にも熱心でしたが、なにより地域性も考えたうえで、「介護の将来」を見据えて、よりよい道を切り開こうとしている方でした。
こういう人が経営する老人ホームなら、働く場所としてもやりがいがあると思えました。
まずは、会社の社長に「将来」を見据えた理念があることが、転職の決め手になりました。
デイサービスとはこの点がぜんぜん違っていました。
地域でのボランティア活動も応援してくれる
この地域に引っ越しをしてきてから、地域の課題を感じ、解決したいと思うようになりました。
観光地として名高いところなのですが、バリアフリーが進んでいなくて、車いすユーザーは行動しにくいのです。
ユニバーサルな視点のない地域で、どう介護を進めていったらいいのか、仕事とは別に私も活動していきたいと思っていたところなのです。
そんな話をしたら、社長が「地域の活性化に寄与してくれるなんて頼もしい。副業だろうとボランティア活動だろうと、どんどんやってください」と言ってくれたのです。
懐が深いと思いました。
実は、この法人で働く前に、別の法人の面接も受けたのです。
そのとき、「私は仕事とは別に、地域の課題解決にも関わりたい、その活動のための時間が欲しいのです」と言ったら、「じゃ、うちに入社しないで、そっちをやればいいじゃないですか」と言われました。
優良な法人だと言われていたけれど、そんな感じなのか、とがっかりしました。
私が現在勤務している会社の社長は、介護職としての能力を他の部分でも活かすのであれば、という思いで副業もOKにしたのだと言っています。先進的でいいな、と思いました。
【働き方で選ぶ転職先】幅広い運営で仕事の形態を選べる
訪問介護をやってみたい、という願いが叶う
東京で有料老人ホームに4年以上勤務した経験が、介護職としての私の強みですが、在宅介護の経験が少ないことが弱みでした。
デイサービスは2カ月ほど経験したのですが、もっと在宅介護を経験したい。
有料老人ホームだけでなく、違う形態の介護施設も見てみたい。
そんな願いも、今の会社なら叶います。
特別養護老人ホーム、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、デイサービス、知的障害者デイサービスなど、複合的な経営をしているのです。
社長が「どこで働きたい?」と聞いてくれたので、これまでやったことのなかった訪問介護をやってみたくて、小規模多機能型居宅介護の所属にしてもらいました。
ひとつの施設で訪問、デイ、泊まりを同じ職員がケアするので、利用者さんは戸惑いなく過ごせます。
私たち職員も、利用者さんとしっかりとお付き合いし、よりよいケアを探求できる。
介護職として、良い経験になる職場だと思いました。
非常勤でもOK!地域活動とも両立できる働き方
当初は常勤で、フルタイムの正社員として入職しました。
処遇の点でも、正社員の方が良いだろうと思いましたが、実際に常勤でフルタイム働きながら地域課題解決の活動をすると、身体がしんどいな、と思うようになりました。
また、活動のために仕事を早めに切り上げたり、休んだりすることもあって、正社員で働くのは申し訳ないという気持ちもありました。
その思いを社長に打ち明け、相談したところ、「君が非常勤がいいというのなら、その形でもいいよ。また常勤に戻りたいというのなら、いつでも歓迎だ」と言ってくれました。
こういうフレキシブルな対応をしてくれるところも、とてもすばらしいし、ありがたい。
それに、私がやっている活動も、今では会社が支援してくださっているのです。
本当に会社や社長には感謝するばかりです。
【資格について】介護福祉士の資格は取っておきたい
海外の老人ホームへ研修に行ったときに、「介護の仕事は、専門職として日本中どこでもできる、海外でもできる」と気づきました。
他の仕事に比べたら、非常に自由度が高いと思います。
けれど、それにはどこの地域の人にも、自分に「一定の能力がある」と証明できるものがなくてはなりません。
それが、国家資格なのだと思います。
介護福祉士の資格は、知識や経験や技術の証明です。
「はじめまして」と、地域に入り込むときも、この資格を持っていれば、安心して任せてくれる部分も大きいです。
だからこそ、介護福祉士の資格は重要だと思っています。
自分を認めてもらえる証明書のようなものです。
転職する前に、取得しておいてよかったと思いました。
【職員に対する処遇】安心して働くためにチェックしたこと
親子3人暮らしていける収入
我が家の場合は、私が一家の稼ぎ手なので、親子3人が暮らしていける収入が必要です。
家賃は都会より安いですが、食費や学費などもかかりますし、将来のための貯蓄も必要です。
手取りで20万円以上、というのが条件でした。
地域によっては高額と思われる額かもしれませんが、自分が必要な収入を確保して働こうと思っています。
理想だけではごはんは食べられないですもんね。
健康保険や年金なども確認しておきたい
介護業界は、処遇についてあいまいな企業が多いと感じます。
でも、一家の大黒柱としては、健康保険や年金も必要です。
特に子どもがいますので、健康保険がないのは問題外です。
この点はしっかりと確認してから就職しないといけないと、肝に銘じていました。
特に、2カ月ほど勤務したデイサービスは、お給料が10万円、健康保険や年金のこともあいまいでした。
面接のときには、こうした処遇について、遠慮せずに確かめる必要があると思います。
次回は、現在の仕事内容について、さらに詳しく語っていただきます。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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