自己PRや志望動機をポジティブに語ることは簡単ですが、退職理由はなかなか前向きに答えるのが難しい内容です。
しかしながら、採用担当者は長く勤めることができ、かつ活躍できる人材を採用したいと考えているため、前職を辞めた理由は気になるところです。
今回は、介護業界での就職を希望される転職活動者を中心に、面接時の退職理由の答え方や、パターン別によるOK例・NG例などを紹介します。
採用担当者が退職理由を聞くのは主に以下の理由が考えられます。
退職理由は、退職という事実からその理由を探ることになるので応募者の人間性が反映され、応募者の生の声を聴くことができます。
介護業界に関しては、職員の採用と同時に定着させることを目標としている会社も多いのでこれら(1)~(4)のことを特に重視している場合があります。
転職活動において、面接で退職理由を確認されることはよくあります。採用担当者の考え方を理解したうえで話せるようにしておきましょう。
Q1.退職理由は基本的にはネガティブであることが多いです。それでもネガティブな退職理由をそのまま答えてもよいのでしょうか?
A1.退職した理由がどんなにマイナスなことであっても噓をついてはいけません。
噓をつくことは、採用後のミスマッチを起こす大きな原因となり、本人にとっても会社にとってもダメージとなります。
ネガティブな理由での退職については、可能な限りその内容をポジティブに変換することが重要です。
そして、退職理由を現在の会社の志望動機につなげることがポイントになります。
Q2.介護業界に転職したいと思っています。前職の退職理由にマイナスの要素はないのですが、前職がまったく関係ない業界だとマイナスの評価になってしまうのでしょうか。
A2. 会社によって判断は異なりますが、前職がまったく関係のない業界からの転職であっても、前職の退職理由に問題がなければ必ずしもマイナスになるとは限りません。
介護業界に関しては、一般的に慢性的な人手不足が続いているため、採用枠が比較的広い傾向にあるからです。
自己PRや志望動機で、なぜ介護職を目指しているのかを明確にしておくとよいでしょう。
面接で退職理由を上手に答えるポイントは、「ポジティブ」と「志望動機」の2つ。
本当の理由はネガティブでも、上手に言い換えることが重要です。
<ポイント1>ネガティブな言葉をポジティブに変換する
退職理由は様々ありますが、前職でのありのままの不平・不満をぶつけてしまうと採用担当者としては「この会社でも同じような状態になるのではないか」「もめ事を起こすのではないのか」「すぐに辞めてしまうのではないのか」などのマイナスな印象をもってしまいます。
そのため、ネガティブな内容であってもポジティブに言い換えるように意識しましょう。
実は、これらのポジティブな表現は採用面接だけではなく採用後の業務でも重要なことになります。
介護は対人援助業務です。コミュニケーション能力においてポジティブで明るい人には多くの人が寄りつき、みんなが笑顔になります。そのため、利用者さんとのコミュニケーションを上手くとることが、円滑な業務の流れを作り上げるために大変重要なことになります。
<ポイント2>志望動機につなげる
退職理由に志望動機を結びつけることで方向性が定まり、一貫性のあるストーリーが構築できます。それによって面接全体での説得力が増し、採用担当者に良い印象を与えることができます。
たとえば、警備員を辞めて介護職員になったとします。
この際に「警備員は屋外での業務も多く、体力がなければ続けられない職業でしたが、警備員としての業務を通じて足腰が鍛えられ持久力が上がりました。そして、この持ち前の体力を使ってもっと多くの人の役に立ちたいという思いが強くなり、介護職を応募させていただきました」とすると、退職理由が志望動機へつながります。
面接で退職理由を聞かれたときの例文を、7つのパターンで解説します。
同じ理由でも「これは避けるべき」というNG例文も用意してあるので、自分に合った例文をぜひ参考にしてみてください。
【回答例のポイント】
上記の回答例は、上司から常日頃、怒鳴られて精神的に追い込まれ退職したケースです。
これらの人間関係を理由とした退職を前向きに変換することは大変難しいことではありますが、人間関係が原因であっても前職でのトラブルについて感情を込めすぎるのではなく、あくまでも冷静にそして新しい職場では前向きになれるような表現にするとよいでしょう。
【NG例がダメな理由】
パワハラを退職理由として、真正面に伝えることは控えた方がよいです。
採用担当者は前職の退職までの生々しいやり取りを聞きたいために退職理由を聞いているわけではありません。どういう状況でどういう原因をもって退職をしてしまったのか、そのプロセスを客観的に知りたいのです。
また、パワハラの要因によっては「それは自らにも非があるのでは」と思われるケースもあるので注意が必要です。
【回答例のポイント】
介護業界の場合、介護職員処遇改善加算という、介護報酬に組み込まれた加算があります。これにより、職員の処遇改善に積極的に取り組むよう仕組みが構築されています。
職員への処遇改善は単に職員の採用や定着につながることだけでなく、お金の余裕が心にも余裕を与え、利用者支援に集中して取り組める環境を整備することにもなります。
そのため、結果的に利用者さんの利益にもつながるという考え方をする経営者の方は多くいます。
給与が低いことを理由とした退職を訴えるのではなく、応募先の会社における給与水準向上のための取り組みを志望動機に絡めてアピールすることで採用担当者に良い印象を与えることができます。
【NG例がダメな理由】
給与が安いことを退職理由として直接的に訴えてしまうと、採用担当者としては、もし別の会社で給与が上回るところがでてきたら辞めて別の会社に移ってしまうのではないかと不安にさせてしまいます。
また、お金の話は大変デリケートなことになります。ビジネスマナーとしてもお金については慎重に話さなければなりません。そのため、ストレートにお金を訴える表現は好まれないことがあるので注意しましょう。
【回答例のポイント】
介護の仕事は体力を要し、不規則勤務であることからも体調に影響を及ぼしやすいです。
そのため、前職が体調不良により退職された場合は正直にその旨を伝え、同時に現在は回復していて業務に支障をきたすことがないことをしっかりと伝えることがポイントになります。
その際に医師の許可が得られていることも伝えると採用担当者は安心します。
【NG例がダメな理由】
仮に前職に問題があったとしても、前職を批判することに対して採用担当者は良い印象を持ちません。
この会社でも不満が少しでもあればすぐに辞めてしまい長続きしないのではと思われてしまうからです。
「体調不良になり仕事を辞めざるを得なくなってしまったが、体調不良になったことによって健康に対する意識が高まった」というように、前向きに捉えるようにしましょう。
【回答例のポイント】
家庭の事情として、多く挙げられるケースが親の介護によるものです。
親の介護を理由とする退職というのは誰にでも起こりえるケースであることから、比較的職場の理解が得られやすい傾向にあります。
ポイントとしては、親の介護に対しての支援体制がしっかりと構築され、また仕事に専念できる状態になったことを伝えることです。
また、介護業界に興味を抱いてくれる方の中には回答例文のように、親の介護がきっかけの方もいます。この場合は退職理由が志望動機にもつながり、自らが感じた体験談を具体的に語れることから、採用担当者に良い印象を与えるでしょう。
【NG例がダメな理由】
「落ち着いてきた」の具体例が一切述べられていません。介護を必要とする母の様態が落ち着いたのか、支援の方向性が定まったのかが分からないため、採用担当者は不安になります。
前述のとおり、親の介護が必要な状況というのはマイナスポイントになる要素ではないため、仕事と介護を両立させ、業務に支障が生じないように親の介護に対しどのように支援を構築していったのかをしっかりと伝えられるようにしましょう。
【回答例のポイント】
企業理念は、会社の存在意義や経営の目指すべき方向性など会社が最も大切にする基本的な考え方になります。
その企業理念が合わないことを理由として退職した場合、その理由が真に利用者さんのためになるかどうかをまず考える必要があります。そうでなければ、ただの前職の批判になってしまうからです。
この場合は、退職の理由と同時にそれが志望動機につながっているため、採用担当者がより退職理由について納得する材料となっています。
【NG例がダメな理由】
企業理念への具体的な不満が見えておらず、社長個人の批判に終始しています。
社長の考え方の何が自分に合わなかったのか、この会社に就職することでその原因が解消されるのか、何を望んでいるのかをしっかりと伝えるようにしましょう。
【回答例のポイント】
経験を積みたいという理由で退職したのであれば、それを採用担当者に納得してもらうためにはある程度の経験をすでに積んでいなければ意思や覚悟が伝わりにくいです。
同時に転職してやりたいことも具体化しておかなければなりません。
回答例文では、一法人一施設で入所施設のみという理由で、前職では目的が達成できないということが明確になっていますが、複数事業所を運営していて前職であってもやりたいことが実現できる可能性がある場合は、なぜ前職ではダメなのかということをしっかりと伝える必要があります。
【NG例がダメな理由】
ネガティブな理由での転職は理解が得られにくいです。
上記NG例の場合だと、この会社でも飽きたら辞められてしまうのではないかと採用担当者を不安にさせてしまいます。
介護の仕事は短距離走のように一瞬で結果がでるものではなく、長距離走のように長い時間をかけて身体機能等の維持・改善に努めていくことになるので、まずはしっかりと経験を積んだうえでさらなる経験を積みたいという理由での退職を考えるようにしましょう。
【回答例のポイント】
キャリアアップが理由の場合は、まず目指すべきキャリアアップが前職では達成できない理由をしっかりと伝えることが大切です。ここで重要なのは、キャリアアップに資格が必要な場合、その資格を取得しているかどうかです。資格を取得していると説得力が増します。
そして前職において、昇格試験のようにキャリアアップに挑戦できるケースがある場合は挑戦した結果も伝えられるようにしておくとよいでしょう。
【NG例がダメな理由】
キャリアアップできないことは前職に原因があるように伝えてしまうと、この会社でも上位のポジションが埋まると辞めてしまうのではないかと採用担当者を不安にさせてしまいます。
また、NG例だとキャリアアップのためにどのような努力をしてきたのかが分からず、ただキャリアアップすることだけが目的となってしまっています。キャリアアップしたいのであれば、具体的な計画を策定し実行したが、前職では叶えられなかった旨を伝えるようにしましょう。
これまで明るくはきはきと話をされていた応募者の方が、退職理由を聞かれたときだけ暗くぼそぼそと話し始め、採用担当者が驚くというケースがあります。
いくら回答例のとおりに内容を構成しても話し方に問題があると、内容の信憑性に疑問符がつき、本当は言いにくい事情があるのではないかと思われてしまうことがあります。
話し方でも印象が大きく変わることがあるので、退職理由を聞かれても決意や覚悟が伝わるようにはっきりと答えるように心がけましょう。
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