■書名:マンガでわかる 介護リーダーの仕事
■著者:三好貴之
■マンガ:國廣幸亜
■発行元:中央法規出版
■発行年月:2014年5月20日
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「現場を変えたい」と思うすべての人に読んで欲しい業務改善の手引き
「介護リーダーの仕事」というタイトルから、「お仕事の中身を紹介する本」と思ってしまうかもしれないが、実はそれだけではない。本書では、一人の介護リーダーの奮闘ストーリーを通して、介護の現場にある「なんとなくうまくいかない」の理由を明確にし、その課題を解決するための具体的な方法までがわかるのだ。
主人公は、ある特養で介護リーダーに任命されたばかりの豊田美樹。ストーリーは、美樹が介護スタッフからボイコットされたことから始まる。「面倒なことには関わりたくない」と一度は辞めることを決意する美樹。しかし、事務員の小早川淳史の助けを借りながら、介護リーダーとして成長していく物語だ。
一見単純なストーリーではあるが、その内容が本当にリアルなのである。
業務改善を提案しても「人手不足だから無理」「理想だけではやっていけない」と反対されてしまう。人手不足解消のために退職者を減らす職場を作ろうと働きかけても「介護業界はどこも人手不足だから」「給料が安いから無理」と言われてしまう。
さらに、入居者のケガや家族からのクレーム、参加者が少ない研修、要領が悪くコミュニケーションに問題がある新人介護スタッフ…といった問題が次々と起きる。
そんな身近な問題を解決するために「がんばる」「気をつける」といった曖昧な言葉ではなく、具体的にどう動くのか、明日から何をするべきかを明確に教えてくれるのだ。
本書には、介護の現場によくある「うまくいかない」「できない」を変えるための、「仕組み作り」のテクニックがたくさんつまっている。しかし読み進めるうちに、大切なものはテクニックだけではないことに、いつの間にか気づかされる。
著者である三好貴之さんは、本書の最後でこう伝えている。
<もちろん、この仕組みを動かす原動力は、あなたの「感情」です。しかし、感情だけでは周りは動いてくれません。その想いが強ければ強いほど、周りはさらに動けなくなります。(中略)つまり、皆さんの想いをいかに「仕組みに変えて伝えられるか」がポイントなのです。>
<今回、主人公の美樹が示してくれたのは、淳史から教わった「テクニックの数々」ではありません。美樹の「その人らしく生活できる介護現場」を実現するための「リーダーとしての姿勢」です。>
著者である三好さんは作業療法士でもある。また、マンガを描いている國廣幸亜さんも介護福祉士としての顔を持っている。分かりやすく、役立つ内容になっているのは、介護現場を熟知している2人がタッグを組んだからこそなのだろう。(國廣さんは当サイト「介護求人ナビ」でも好評連載中)
本書を通して、介護現場を変える実践テクニックがわかることはもちろん、「あなたはどんな介護現場を作りたいですか?」という問いの答えが見えてくるのではないだろうか。
著者プロフィール
三好貴之(みよし・たかゆき)さん
株式会社メディックプランニング 代表取締役。経営コンサルタント/作業療法士。人材育成・業務改善からの経営戦略立案が専門。「人と業績を同時に伸ばす」をモットーに、多数の病院・介護施設のコンサルティングを実践中。
〈マンガ〉
國廣幸亜(くにひろ・ゆきえ)さん
幼少の頃よりマンガ家を志す。会社員をしながら投稿を続け、講談社BE・LOVE誌上でデビュー。現在は、介護福祉士として働きながら創作活動を続け、著書も多数。
介護マンガ『介護の現場で事件です!』を当サイト「介護求人ナビ」でも好評連載中。
●著者の國廣幸亜さんの連載マンガ『介護の現場で事件です!』はこちら
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