■書名:ぜんぶわかる認知症の事典 ― 4大認知症をわかりやすくビジュアル解説
■監修:河野 和彦
■発行:成美堂出版
■発行年月:2016年3月17日
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アルツハイマー型をはじめとする4大認知症の症状・最新治療をビジュアル図解
同書は、「アルツハイマー型」「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」「前頭側頭葉変性症」の4大認知症を解説したものだ。
認知症には、大きく分けて4つの種類があり、症状の出方や治療法はそれぞれ異なる。本書では、4つの認知症の症状から始まり、検査方法や治療方法まで説明している。主な内容は下記のようなものだ。
・認知症の分類と特長(病態や発症リスク、経過など)
・認知症の検査と診断(CT、MRI、SPECT検査など)
・認知症の中核症状、周辺症状(記憶障害、見当識障害、失語、徘徊、暴力、多動など)
・認知症の最新治療
本書の特長は、オールカラーで図解を多く取り入れているところ。たくさんのイラストなどを使用して解説しているので、よりスムーズに情報が頭に入る。
たとえば、同じ認知症でも、アルツハイマー型と前頭側頭葉変性症では、脳の病態が異なる。アルツハイマー型は、海馬を中心に側頭葉、前頭葉が委縮するが、前頭側頭葉変性症では前頭葉が委縮するという。本書では、見開きで萎縮している脳のイラストを掲載。それぞれの病態の違いがイラストで一目瞭然で分かるため、理解度も深まるというわけだ。
そのほか、症状の進行度もグラフ付きで説明。認知症の中核症状は、4つの認知症でそれぞれ出方が異なるが、図表で整理されているため、大変わかりやすい。認知機能の偏りを評価するHDSーR(改定長谷川式簡易知能評価スケール)や、アルツハイマー型の診断に有効と言われる時計描画検査も紹介している。ひとつの目安として簡単な検査方法を知っていれば、「ちょっと様子がおかしい」と思ったときに、早めに手を打つことができるのではないだろうか。
同書を監修している河野和彦さんは、認知症の薬物療法「コウノメソッド」の提唱者でもある。コウノメソッドは、認知症患者が興奮していたら抑制系の薬剤を、落ち込んでいたら興奮系の薬剤を投与し、あわせてサプリメントも使用する治療法だ。本書では、4大認知症に対する一般的な薬物治療と、コウノメソッドの薬物治療をそれぞれ紹介。コウノメソッドに興味がある人や、訪問先がコウノメソッドを取り入れているヘルパーなどは、目を通しておいて損はないはずだ。
著者プロフィール
河野和彦(こうの・かずひこ)さん
認知症専門医。医学博士。近畿大学医学部卒業後、1988年、名古屋大学大学院医学系研究科老年科学教室博士課程修了。2009年に名古屋フォレストクリニック開院。国内有数の認知症初診患者数と、30年以上にわたる認知症治療経験をもとに、効果・安全性の高い認知症薬物治療を確立し、「コウノメソッド」として提唱している。