■ 書名:身ぶり手ぶりで楽楽コミュニケーション 介護に役立つシニアサイン
■ 著者:齋藤綾乃
■ 監修:近藤禎子
■ 発行元:中央法規
■ 発行年月:2012年12月15日
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もう大声は必要ない!シニアサインで耳の不自由な人との会話がスムーズに
耳が遠くなった家族との会話に、イライラしたり悲しくなったりした覚えはないだろうか。
一方は「伝えたい」、そしてもう片方は「聞き取りたい」。でもうまく意思疎通ができないことから、介護者はつい大声で怒鳴るように話してしまう。そして介護を受ける側は、聞き取れないことに対しての苛立ちをぶつける……。
でもほんの少しのコツで、格段に意思の疎通がアップする方法があるとしたらどうだろう。自らも耳が遠い家族を持つ著者の齋藤さんはコミュニケーションのひとつの方法として「シニアサイン」を提案している。
シニアサインとは、身ぶりと簡単な手話をつけて会話をする方法のこと。
例えば、「食事の用意ができた」と伝えたいときに、言葉とともにごはんを食べるしぐさを付けるといったものだ。
耳元で大きな声で叫ぶよりも、簡単なサインを添え、目と目を合わせて話すほうが、伝わる可能性がグンと高くなるという。
シニアサインを使い、お互いの言っていることがわかると、安心感や信頼関係が生まれる。シニアサインの実践者からは、「利用者さんに笑顔が戻った」「会話のキャッチボールができた」といった体験談が寄せられているという。中には、言葉が伝わらなかったことにより、暴力をふるっていた人が、穏やかになってきたというケースもあるそうだ。
本書では、「おはよう」「ありがとう」などの簡単なシニアサインから、食事や入浴といったシーンに応じたサインなどを紹介している。
シニアサインは、手話のように決まった形はない。「伝わることが一番」だから、自分と相手だけがわかるサインでも充分だ。自分たちの生活に応じて、自分たちだけのシニアサインを作り、使うことができる。
また、シニアサインは「シニア」と付いているが、特に高齢者に限ったものではない。耳が遠い人はもちろん、声が出せない人、子供や言葉が通じない外国人など、すべての人が使える。
<私たちは、社会のあらゆるところで耳の不自由な人と出会います。
シニアサインは耳の不自由な高齢者向けに限定されるものではなく、年齢、性別、障害の有無、人種、国籍を越えて、誰でも、いつでも、どこでも使えるユニバーサルなサインなのです。>
気負わず気軽に試せるシニアサイン。早速、今日の「食事ができました」という言葉かけから始めてみてはどうだろうか。
<松原圭子>
著者プロフィール
齋藤綾乃(さいとう・あやの)さん
NPO法人生活支援サイン講師。医療福祉系専門学校教員、医療ソーシャルワーカーを経て、耳の遠い高齢者とのコミュニケーションにシニアサインを活かしている。
(監修)
近藤禎子(こんどう・よしこ)さん
NPO法人生活支援サイン代表。名古屋の毎日文化センターでは手話の講師も務める。著書に「シニアサイン―介護に役立つ楽々手話」などがある。