■書名:脳もリズム感も活性化!みんなで楽しむ手拍子リズムトレーニング
■著者:長野 祐亮
■出版社:リットーミュージック
■発行年月:2018年11月
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レクで使えるリズムトレーニング!手拍子だけで、誰もが簡単に楽しめる!
介護施設で行うリズム体操は、高齢者でも無理なく取り組め、しかも楽しいことが重要となる。
本書で紹介されている「手拍子リズムトレーニング」は、その両方をクリアしていると言える、介護施設のレクリエーションにはもってこいのトレーニングだ。
高齢者でもできる簡単さを求めると、幼稚園で行われているような幼児向けのリズム体操になりがち。それだと大人には気恥ずかしく、楽しめない高齢者も少なくないはずだ。
その点、本書のトレーニングは、年齢を限定せずにリズム感を養うことを目的したリズムトレーニングであるため、幼稚な印象はない。しかも著者は、リズムのプロともいえる現役ドラマーだ。リズムを楽しむ醍醐味さえ感じられる内容となっている。
シンプルで簡単なリズムから始められる構成なので、高齢者にも無理がなく、少しずつ難易度を上げていることができる。
具体的には、次のように順を追って難易度を上げていく。
・パ!で4拍子を叩こう!
・パパ!で4拍子を叩こう!
・パパ!で3拍子を叩こう!
・パパパ!で4拍子を叩こう!
・パパパパ!で4拍子を叩こう!
・童謡を歌いながら叩こう!
「パ」と書かれた擬音語が、手をたたくところ。音楽経験の浅い人でも、「パ!」「パパ!」と声に出して読んだり歌ったりしながらリズムをつかんでいける。難易度が上がっても、言葉遊びでリズムを覚えていく工夫もあり、楽しく続けられそうだ。
焼きそば、かつ丼、とんかつ、梅干しなどの身近な言葉が出てくれば、難しいと感じる練習でも、思わず笑顔になれるのではないだろうか。
最後の童謡を使ったトレーニングでは、「春の小川」「どんぐりころころ」「こいのぼり」「うさぎとかめ」「村祭」を使用。「手拍子は立派な楽器」と語る著者だけに、大人として十分に楽しめる「合奏」となるようにアレンジされている。
基本的に、指示されたタイミングで手拍子するだけなので、特別な道具もいらず、いつでもどこでもできるのがメリット。
また、音を鳴らすのは手拍子に限る必要はない。手で机をたたいたり、足で床を鳴らしたり、工夫次第でいろいろなものが活用でき、音色の変化も楽しめる。
このリズムトレーニングに取り組む人数は、ひとりでもふたり以上でも大丈夫。
ひとりで行うなら、右手でAパート、左手でBパートというふうに左右の手で分けて膝や机などをたたく。複数が参加して行うなら、AとBの2パートに分かれて合奏ができる。レクリエーション感も抜群で、楽しみ方は無限だ。
さらに、頭と体の両方を使うことから、脳を活性化する「脳トレ」にもなり、認知機能の向上などの効果が期待できることもメリットとして見逃せない。
介護施設で行えば、レクリエーションとして大いに楽しみながらリハビリや介護予防ができるはずだ。
オールカラーで文字は大きく、図が中心のテキストなので、とても使いやすく理解もしやすい。CD付きで、耳で聴いて確認できる安心感もある。
まずは気軽に手に取って、自分が担当するレクへの導入を検討してはいかがだろうか。
著者プロフィール
長野 祐亮(ながの・ゆうすけ)さん
東京都出身。15歳からドラムを始め、つのだ☆ひろ、そうる透に師事。大学在学中にプロ活動をスタートし、数々のレコーディングやアーティストのサポートで活躍する。現在はそうした音楽活動と並行し、インストラクターやリズム&ドラム・マガジン誌などへの執筆活動を通して後進の指導も積極的に行っている。