■書名:職場改革で実現する 介護業界の人材獲得戦略
■著者:馬場 拓也
■発行元:幻冬舎
■発行年月:2015年9年19日
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元アルマーニのトップセールスマンが考える、介護を魅力的な業界に変える職場改革とは?
「介護の仕事=大変」、というイメージを持つ人は、世の中に少なくない。実際、介護の仕事は体力・精神力を要する事も多い。給与に満足できず、男性の介護スタッフが、結婚を機に「寿退社」し、他の業界に転職する例もあるという。
そのため、多くの施設が人材を確保することが難しい状況にある。中には、介護施設を建てたのにもかかわらず、スタッフ不足で機能していない施設もあり、それが入所待ちの高齢者がなかなか減らない一因でもある。
本書では、働きがいのある魅力的な職場づくりを通して、介護業界の人材獲得を実現する方法について具体的に紹介している。「給料も安い、仕事も大変、人が集まらないから一人の負担が重い」と、人を確保できないことの理由を挙げて嘆くのではない。本書は、いかに介護を魅力的な仕事にし、多くの人が集まる仕事にできないかを提案している。
本書の著者・馬場拓也さんは、華やかなアパレルの世界から一転、介護業界に転職した異色の経歴の持ち主だ。
前職は、アルマーニのトップセールスマン。馬場さんによると、アルマーニも介護業界同様、給料はそれほど高くないという。なのに、介護業界とは異なり、若手人材が多く詰め掛け、離職者も少ない。同じサービス業なのに、アルマーニにあり、介護業界にないものとは何だろうか。馬場さんはその点に着目し、両者の違いを分析している。
本書で馬場さんは、介護の仕事をただのケアから、究極のホスピタリティへ。マニュアル重視チームから、クリエイティブチームにと変えていけば、人材不足は解消できると説いている。
<サービス業であれば、どのような業種でも、徹底的にホスピタリティを追求することで、働く人のプライドとクリエイティビティを喚起できるということです。(中略) 高齢者の方やその家族が感動するようなケアを超えたホスピタリティを提供できる……そんな他の業界にはない魅力を外に発信することで、必ず介護職は人材が殺到する魅力的な仕事に一変するのです>
自分が考えて提供したサービスが喜ばれる。その成功体験が積み重なると、「もっと人を喜ばせたい」という気持ちが芽生える。この「人を喜ばせようと思う気持ち」が、介護業界に人材を定着させる切り札となるのだと馬場さんは語っている。
馬場さんはアルマーニで、マニュアルに一歩踏み込み、ホスピタリティという心の要素を加えることの大切さを学んだという。本書では、この一歩踏み込んだ攻めの介護スタイル「お節介護(おせっかいご)」が、職場を変える大きな力となることを解説。
そのほか、人材確保には、地元の若者を戦力化することも有効であること。これから重要な戦力となる若者層への対応がおろそかになっていたこと。「ダサい職場」から「かっこいい職場」に変えていく必要性があること、なども述べている。
また、団塊の世代の多くが後期高齢者になり、深刻な介護職不足が心配される「2025年問題」にも言及。介護報酬引き下げなどにより、資金繰りに悩む運営側の苦悩についても語っている。「手をこまねいているだけではだめだ、今、変えていかなければ」という、馬場さんの強い思いが感じられる。介護業界で採用やマネジメントに携わる方にぜひ読んで欲しい、刺激をもらえる一冊だ。
<松原圭子>
著者プロフィール
馬場拓也(ばば・たくや)さん
社会福祉法人愛川舜寿会ミノワホーム経営企画室長。大学卒業後、ファッション業界に進み、某外資系アパレルブランドを経て、2001年ジョルジオアルマーニジャパンに入社。2005年にはEMPORIO ARMANIで月間販売セールス全国トップとなる。2007年「感動のサービスプロジェクト」のメンバーとして、サービスマニュアルブックの作成に携わる。磨いたホスピタリティを介護業界で生かすべく、2010年にミノワホームに入社。
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