■書名:目で見てわかる 最新介護術
■著者:北田信一
■発行元:成美堂出版
■発行年月:2016年5月9日
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安全で負担の少ない介助のコツと、動作の根拠が一目でわかる!
介護現場では、様々な介助動作を日常的に行う必要がある。研修等を通して基本を学んでいても、実は技術に自信がなく、不安を抱えながら介護に携わっている人もいるのではないだろうか。そんな人にぜひお勧めしたいのが本書だ。
著者の北田信一さんは、グループホームやデイサービスを運営しながら、介護職員実務者研修や介護福祉士試験の受験対策講座など、多くの研修で講師を務めている。本書では、そうした介護技術教育の経験を活かし、様々な生活場面で必要な介助方法について、大きな連続写真とイラスト図解を用い、わかりやすく解説してくれる。
本書で取りあげる介護技術(介助方法)は、移動・移乗、食事、排泄、入浴と身体清潔、着替え。ほかにも、知っておくべき感染予防と緊急処置、介護職員としての心構えがまとめてある。研修のサブテキストとしても活用できる内容だ。
「はじめに」には次のように書かれている。
<介護の現場では、さまざまな介助方法を実践されていることと思いますが、いつの間にか自己流になっていたり、どうしてこの方法で介助するのか、その根拠が見えなくなったりしていないでしょうか。どの方法にも、よい点もあれば改善する点もあると思います。基本に立ち返り、ご自身の介護技術(介助方法)の見直しをする機会として、さらに、本書をヒントに新たな介護技術を生み出すなど、創造的かつ発展的にご活用いただければ幸いです。>
まさに、どうしてこの方法で介助するのか、という根拠を丁寧に説明してくれるのが本書の特長と言える。最初の章では介護技術の基本として、正しい姿勢や体のメカニズムを解説。そのうえで、一つひとつの介助方法について見開きで紹介していく。写真が大きいのでわかりやすいうえに、動作のポイントや注意点がきめ細かく添えられているので、手の添え方や足の位置についても、「なるほど、そういうことだったのか」と納得しながら理解していくことが出来る。
たとえば、利用者をベッドの中央から端に水平移動してもらう介助のページを見ると、「振り子の原理」を使うことを説明しながら、さらに介護するスタッフと利用者の位置や腕の使い方や角度などを連続写真で解説。また別角度からの写真で、両膝をベッドにつけて「てこの原理」を使うことで少ない負担で動かすコツが紹介されている。
また、一つひとつの動作に「声かけ」の具体的なセリフが示されている点も、介護の現場で参考になるだろう。
本書では、介助方法を紹介するにあたって次の3点を大切にしたと言う。
●介護を必要とする方の安全・安楽を常に意識すること
●介護を必要とする方の自立を支援すること
●介護をする人の安全も守ること
今後ますます、利用者と介護をする人、双方の負担を軽減するための介護を追求することが大切になってくるはずだ。本書を手元に置き、自分の介護スキルを見直すのに利用してみてはいかがだろうか。
<小田>
著者プロフィール
北田信一(きただ・しんいち)さん
看護師。介護支援専門員。精神科病院病棟看護師長、看護専門学校専任教員、介護福祉士養成施設専任教員(教務課長)を経て、株式会社PAO代表取締役。認知症対応型グループホームやデイサービスを運営。教員時代より介護技術教育にかかわり、現在も介護職員実務者研修、介護福祉士国家試験受験対策講座、介護支援専門員受験対策講座、実務者研修教員講習会、認知症サポーターステップアップ研修など、多くの研修で講師を務める。多数の介護事業所の職員研修の企画や講師も務めている。