シナプソロジーは、子どもからお年寄りまで楽しめ、座ったままで出来るプログラムもあるので、体力レベルを問わず行えます。運動・知的刺激・社会交流により、脳を刺激し活性化。認知症予防や、健康増進に役立つことも期待される、高齢者にもぴったりなプログラムです。介護事業所や施設で取り入れているところも増えています。
このコーナーでは、「あらら、間違って正解!」「おやおや、戸惑って大正解!」と楽しめる、魅力満点のシナプソロジーをご紹介!シナプソロジーインストラクターのふーちゃんこと、介護福祉士の山﨑史香さんに、介護施設や、デイサービスなどで楽しめるプログラムを教えてもらいます。
片麻痺のある人も一緒に楽しめる「指折りどこさ」をやってみよう
みなさん、こんにちは!今日も元気にシナプソロジーインストラクターのふーちゃんです。
前回に、引き続き「指折りどこさ」というプログラムをご紹介します。前回は元気なお年寄り向けでしたが、今回は片麻痺のある方も一緒に楽しめるアレンジバージョンをお伝えします。
さぁ~今週も楽しみながら脳をワクワク活性!シナプソロジーを始めていきましょう。
【1】まず、以下の基本動作を覚えましょう!
はじめに、まずは利き手で、指を折り曲げながら、「あんたがたどこさ」を歌いましょう。
麻痺や体を動かしにくい方への指導ポイント
今回は、麻痺が強く、指先を曲げる事の出来ない方が参加メンバーにいる場合でも、みなさんと一緒に片手だけで出来るアレンジをお伝えします。麻痺でも軽度で指先を動かせる方には、指の運動にもなるので動かせる範囲で指を動かしてもらいましょう。中にはリュウマチで指先の痛みがある方もいるかもしれません。その際も観察、お声がけをして楽しく参加して頂けるように気を配りましょう。
【2】基本の動作を覚えたら、みんなで実践してみよう!
動作を覚えたら、いよいよシナプソロジーがスタート!
●指示者の声がけ
「まずは利き手で、親指から順に指を折り曲げながら、『あんたがたどこさ』を歌いましょう。」
指示が上手く伝わらない時は
まずはスタッフがやってみせよう!間違った時が、笑いの神さま到来ですよ。スタッフも、間違う!戸惑う!考える!それを笑いに変えて、盛り上げます。
指示者の声かけ
「あらぁ〜、こんがらがってます!私が1番、頭が元気になってますね!」
「いいんですよ。一瞬、あれ?って考えてる時が1番、頭を使ってるんですよ」
「若くたって間違えます!年齢じゃないんです。こうやって笑うのが1番心の栄養になります」
認知症の方は新しい事が苦手です。できない事に喪失感を感じてしまいます。行動についていけなかったり、難しくてやめてしまった時は、まずは楽しむ事を意識して声かけしていきましょう。はじめは周りの参加者同士で笑い合い、雰囲気を楽しむところから第一歩を踏み出してみましょう。
【3】新しい刺激をチャージ!スパイスアップ 初級編
慣れてきたら、次はスパイスアップ(新しい変化)です。
「さ」のときは指を動かさないで行います。
●指示者の声がけ
「この歌の歌詞には「さ」が沢山出てきますが、スパイスアップでは「さ」のところでは、指を動かしません。
一曲歌いながら行いましょう。」
指の折り曲げる流れはイラストをご覧ください。
【4】新しい刺激をチャージ!スパイスアップ 中級編
手は変えず、
小指から折り曲げるに変える。親指まで行ったら、親指を開く動作で折り返し行う。
●指示者の声がけ
「では、スパイスアップ!今度は小指から折りまげながら。
「さ」のところは、指を動かしませんよ。元気に歌いながら行いましょう。」
【5】新しい刺激をチャージ!スパイスアップ 上級編
手は変えず、今度は一度グーにして、
親指から順に開いていきながら行う。小指まで来たら折り返して折り曲げていきます。
●指示者の声がけ
「では、スパイスアップ!今度は一度、拳を握り、グーを作ってください。
親指から順に開いていきます。歌詞の「さ」のところは、指を動かしませんよ。
元気に歌いながら行いましょう。」
ふーちゃんのワンポイントアドバイス
今回のプログラムを楽しむコツは、「あんたがたどこさ」のわらべ歌を歌いながら、間違ってもいいので指を折り曲げることです。このわらべ歌は昔、皆さんが一度は歌ったことのある懐かしい歌ですよね。導入の際には、回想法を使いながら、この歌を歌って遊んだ昔話や、参加者の子ども時代、青春時代に流行った歌などの思い出を引き出してみましょう。
利き手が左手の方もいらっしゃるかもしれませんので、指示者はしっかり把握した上で指示を行うと、ご本人や、周りの混乱を招かず出来ると思います。声がけの際は、「箸を持つ方です」など分かりやすい表現をしてみましょう。異なる動作を同時に行うこと、そして声を出して身体を動かし、新しい刺激の変化に反応することで脳はイキイキします。片麻痺があっても、認知症があったとしても、それを1つの個性と捉えて、指導者は参加される方が如何に楽しみながらできるかを考えて行ってみてくださいね。※説明・進行していく中で、初めてで、緊張したり、上手く笑いが取れなかったりすることもあるでしょう!
ですが、それも楽しむ心が大切です。心折れてはいけませんよ〜。プログラム、と聞くとその通り進行しなければいけないという気持ちになってしまいますが、全て遂行することが目的ではありません。
笑いながら、脳が混乱して間違えるのを「みんなで楽しむ事」が大切です。
慣れてきたら、「脳の活性化プログラムである事」を意識して、行っていけば良いと思います。一度、スタッフ同士でやって難易度を確認してから、参加者のレベルに合わせてアレンジしてみましょう。なお、軽度認知症には個人差があります。初めてプログラムを進行する場合は、指示者のサポート役にもう1人加え、2人で進行できるとベター。様子を見て、フォローしながら進めていけるとよいと思います。
次週は、新しいプログラムを紹介します。
次回も元気にシナプソロジー! またお会いできるのを楽しみにしています。
「指折りどこさ」を動画で見る
<シナプソロジーについて>
→シナプソロジーの特徴と効果とは?
→「指折りどこさ」元気なお年寄り向けのアレンジはこちら
プロフィール
ふーちゃん こと 山崎史香(やまざき・ふみか)
キャリア11年の介護福祉士。現場で介護職員として働くかたわら、子供や若者達が触れやすい介護の新しい入り口作りを目指し、「介護イノベーションART」など施設を離れた活動も積極的に行う。地域、現場から発信するスタイルの介護福祉士として、注目の存在。電子書籍絵本
『しわのようせい』の作者でもある。
そのほかの活動として主なものは、寝たきりの方の見ている白い天井の景色をARTで変える「花咲かじーさんプロジェクト」、子供達へのシワ物語り「介護授業」、4度目のハタチを謳歌する為の「介護予防サロン」を開催。今までの活動が、目に止まり、宮城県仙台市のケアヒーローに選ばれる。また、福祉事業、介護の魅力を伝えるプロモーション、パンフレット、雑誌等にも出演している。
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