シナプソロジーとは、脳を活性化させ、認知症予防やストレス緩和にも効果があるプログラム。ゲーム感覚で行うことができ、高齢者のレクリエーションに取り入れる事業所、施設も増えています。
このコーナーでは、シナプソロジーインストラクターのふーちゃんこと、介護福祉士の山﨑史香さんに、介護施設や、デイサービスなどで楽しめるプログラムを教えてもらいます。
元気なお年寄り向けの「指揮者」をやってみよう
みなさん、こんにちは!今日も元気にシナプソロジーインストラクターのふーちゃんです。
今回からご紹介するのは「指揮者」というプログラムです。注意力の向上効果が期待できますよ。オーケストラの指揮者になったつもりで大きく手と腕を動かしていきましょう。ベートーベンの運命に合わせてやっても良いかもしれませんね。
さぁ~今週も楽しみながら脳をワクワク活性!シナプソロジーを始めていきましょう。
【1】まず、以下の基本動作を覚えましょう!
はじめに、両手の動きを覚えましょう。利き手はスカーフを持って2拍子で上下に振ります。
利き手と反対の手は2拍子で左右に動かします。
【2】基本の動作を覚えたら、みんなで実践してみよう!
動作を覚えたら、いよいよシナプソロジーがスタート!
「イチ、二、イチ、二」とリズムをとりながら、基本動作を練習してみましょう。基本の動作の2拍子ができたら、10まで数えながら行います。
下にある動画では短時間でお伝えするためにテンポ良く次に進んで行きますが、耳が遠い方、理解度に差がある参加者がいる場合は、焦らずやってみてくださいね。
●指示者の声がけ
「両手の動きを、同時にやってみましょう。『イチ、二、イチ、二』とリズムをとりながら練習してみましょう。」
「では、今練習した2拍子で、数字を声に出して10まで数えながら行います。」
指示が上手く伝わらない時は
まずはスタッフがやってみせよう!間違った時が、笑いの神さま到来ですよ。スタッフも、間違う!戸惑う!考える!それを笑いに変えて、盛り上げます。
指示者の声かけ
「あらぁ〜、こんがらがってます!私が1番、頭が元気になってますね!」
「いいんですよ。一瞬、あれ?って考えてる時が1番、頭を使ってるんですよ」
「若くたって間違えます!年齢じゃないんです。こうやって笑うのが1番心の栄養になります」
認知症の方は新しい事が苦手です。できない事に喪失感を感じてしまいます。行動についていけなかったり、難しくてやめてしまった時は、まずは楽しむ事を意識して声かけしていきましょう。はじめは周りの参加者同士で笑い合い、雰囲気を楽しむところから第一歩を踏み出してみましょう。
【3】新しい刺激をチャージ!スパイスアップ 初級編
慣れてきたら、次はスパイスアップ(新しい変化)です。
今度は、利き手は3拍子でスカーフを振る。
利き手じゃない方はいままでと同様に2拍子。
●指示者の声がけ
「今度は、利き手と反対の手は、今まで同様に左右2拍子です。同時に利き手は三角を描くように、
『イチ、二、サン、イチ、二、サン』の3拍子で動かします。では、数字を1から声に出して15まで
数えながら行いましょう。」
※15まで数えてみましょう。参加される方のレベルに合わせて、難しい場合は10までにしましょう。
【4】新しい刺激をチャージ!スパイスアップ 中級編
左右の手を入れ替えて行う。
●指示者の声がけ
「では、スパイスアップ!
今度は左右の手を入れ替えて行いましょう。利き手と反対の手にスカーフを持ち替えて、3拍子で振ります。
利き手は左右に2拍子です。やってみましょう。」
※15まで数えてみましょう。参加される方のレベルに合わせて、難しい場合は10までにしましょう。
ふーちゃんのワンポイントアドバイス
今回のプログラムを楽しむコツは、オーケストラの指揮者になったつもりで手に持ったスカーフをなめらかに振ることです。前置きで、有名な指揮者の名前について小話をしたり、音楽の豆知識を伝えると、流れができて良いですね。
指示者は手の動きが良かった参加者に「○○さんの手の動きはベートーベンも腰抜かすくらい上手ですよ!」「まるで目の前にオーケストラが居るみたいですね。」など、声をかけて盛り上げましょう!
2つのリズムの異なる動作を同時に行うこと、そして声を出して身体を動かし、新しい刺激の変化に反応することで脳はイキイキします。※説明・進行していく中で、初めてで、緊張したり、上手く笑いが取れなかったりすることもあるでしょう!
ですが、それも楽しむ心が大切です。心折れてはいけませんよ〜。プログラム、と聞くとその通り進行しなければいけないという気持ちになってしまいますが、全て遂行することが目的ではありません。
笑いながら、脳が混乱して間違える事を「みんなで楽しむ事」が大切です。
慣れてきたら、「脳の活性化プログラムである事」を意識して、行っていけば良いと思います。
一度、スタッフ同士でやって難易度を確認してから、参加者のレベルに合わせてアレンジしてみましょう。
次週は、今回の「指揮者」を麻痺や認知症がある人に向けたアレンジでご紹介します!
次回も元気にシナプソロジー! またお会いできるのを楽しみにしています。
「指揮者」を動画で見る
<シナプソロジーについて>
→シナプソロジーの特徴と効果とは?
プロフィール
ふーちゃん こと 山崎史香(やまざき・ふみか)
キャリア11年の介護福祉士。現場で介護職員として働くかたわら、子供や若者達が触れやすい介護の新しい入り口作りを目指し、「介護イノベーションART」など施設を離れた活動も積極的に行う。地域、現場から発信するスタイルの介護福祉士として、注目の存在。電子書籍絵本
『しわのようせい』の作者でもある。
そのほかの活動として主なものは、寝たきりの方の見ている白い天井の景色をARTで変える「花咲かじーさんプロジェクト」、子供達へのシワ物語り「介護授業」、4度目のハタチを謳歌する為の「介護予防サロン」を開催。今までの活動が、目に止まり、宮城県仙台市のケアヒーローに選ばれる。また、福祉事業、介護の魅力を伝えるプロモーション、パンフレット、雑誌等にも出演している。
しわくちゃんFacebookページ