■書名:介護に役立つアロマセラピーの教科書
■著者:櫻井かづみ
■発行元:BABジャパン
■発行年月:2014年10月14日
>>『介護に役立つアロマセラピーの教科書』の購入はこちら
アロマセラピーを介護の現場に! すぐに役立つノウハウ&ケーススタディ
昨今、介護や医療の現場で関心が高まっているもののひとつに、アロマセラピーが挙げられるだろう。利用者や家族の満足度UPにつながる新しいサービスとしても注目を集めている。
本書の魅力は、アロマセラピーを介護現場に取り入れ、実践するためにすぐに役立つ知識やノウハウが詰まっていること。
たとえば、準備段階において、利用者や家族、施設側それぞれのニーズとメリットを確認することの大切さについて。さらに、実践で役立つケア現場ごとの精油の選択やブレンド法も。実践編では、基本手技から、手足や背中、ヘッドなど部位ごとのトリートメントテクニックまで写真をたっぷり使って解説してくれる。
そのうえで、介護老人保健施設やデイサービス、ホスピスなど、著者が実際に経験した現場でのケーススタディが多数紹介される。事例を読み進むと、アロマセラピーが介護の現場で果たす役割が見えてくる。
そのひとつが「コミュニケーションツール」としての役割だ。
印象的なのは、もともとコミュニケーションが苦手だった著者が、初めて特別養護老人ホームで施術したときの体験談。思うようにコミュニケーションが取れない認知症の方たちとの出会いを通して、「心で会話する方法」を学んだという。
<コミュニケーションとは、一方的に伝達するだけでなく、互いに伝達し合うことです。香りとタッチングを媒体にすることで、自然でスムーズなコミュニケーションが可能になることを、私は身をもって体験したのでした。>
アロマセラピーが介護の現場で利用者の心と体を癒し、QOL(生活の質)を高める様子も実感できる。しかも、利用者だけでなく、ストレスを抱えた介護スタッフや家族にも癒しをもたらすという。また、「介護予防」や「予防療法」としても有効だとか。介護施設のみならず、地域での活用モデルも紹介されており、アロマセラピーの可能性の広がりに気づかされる。
特に興味深かったのは、施設やデイサービスで行うアクティビティーへの応用だ。着衣の上からタッチングを行う「アロマタッチ」なら、ゲームをしながら複数の方にケアすることも可能だという。グループホームなどへのアロマセラピーの導入として、参考になるのではないだろうか。
<さまざまな場面や場所で、アロマセラピーを使った取り組みが始まっています。多角的な視点を持って、環境や自分の可能性を見据えることのできるアロマセラピストには、これから、活躍の場が大きく広がることでしょう。>
本書をきっかけにして、介護とアロマセラピーのマッチングについて考えてみてはいかがだろうか。
仕事の幅を広げたいと考えている人、利用者とのより良いコミュニケーションを模索している人、また、地域に貢献できる施設づくりをめざす管理者の目線からも読める一冊だ。
著者プロフィール
櫻井かづみ(さくらい・かづみ)さん
英国でアロマセラピーを学び、帰国後、IFA認定アロマセラピストとして活躍。老人保健施設でケア専門アロマセラピストとして4年間勤務したのち、2007年に京都初の英国IFA認定校を開校。現在、英国IFA認定校ブルーバーダー・ホリスティック・ケア・センター プリンシパルティーチャー、NPOアロマ・ケア・アソシエイツ代表理事。株式会社楽手 代表取締役。