■書名:介護の仕事には未来がないと考えている人へ 市場価値の高い「介護のプロ」になる
■著者:濱田 孝一
■出版社:花伝社
■発行年月:2017年5月
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未来を切り開くのは介護職自身!プロになるために心がけたい5つのこと
「介護の仕事に興味がある」「介護の仕事に就きたい」
介護は今後、ますます需要が見込まれる業界だけあって、このように考える人も多いことだろう。
しかし中には、介護の仕事に興味を持っていても、「仕事がきつい」「給料が安い」「離職率が高い」といったイメージから、二の足を踏んでいる人もいるのではないだろうか。
本書は、介護の仕事に就きたいと考えている人をはじめ、実際に介護現場で働く人に対して、「介護労働の未来」と「自分の未来を変える働き方」を解説したものだ。
介護の未来について述べられているが、その内容は「超高齢社会なので、介護の仕事には未来がある。安心して働ける」といった単純なものではない。
本書では何度も「本人次第」という言葉が登場する。将来性のある介護業界に入ったからといって、受け身で仕事をこなすだけでは道は開けない。5年後、10年後を見据えてスキルアップを重ね、「市場価値の高い介護のプロになる」と、未来は広がっていくという。
では、具体的にどのようなことを心がけていけばいいのだろうか。
本書では下記の5つを挙げている。
・介護サービス事業者を見る目を養うこと
・プロは一生勉強をし続けることが大切
・ケアマネジメントのプロになる
・リスクマネジメントのプロになる
・介護経営のプロになる
最初に取り掛かるべきことは「介護サービス事業者を見る目を養うこと」だろう。介護の現場を知らない人がトップを務めるところや、収益性を見込んで、経営の素人が始めた事業所もあり、介護事業者は玉石混交だ。
また、ケアは同じでも、事業者や施設によって仕事の進め方や優先事項が違う場合もある。努力が報われる環境か、成長できる環境であるかも事業者によって違うだろう。
よく調べないまま入職し「こんなはずではなかった」「介護なんてこりごり」と思ってしまうケースもあり得る。
そのためには、どのような事業者・施設を選んだらいいのだろうか。
本書では、「教育制度がしっかりしている」「キャリアアップを積極的にバックアップしている」「必要な場所に必要な人員を配置している」ことなどを挙げている。
上記のほかにも良い事業者・施設を見分けるコツが紹介されていて、今後の転職活動にも役立つはずだ。
しかし、良い事業者に出会えたからこれで安心、というわけではない。介護職は、勉強をし続けることも大切だという。介護のスキルはもちろん、リスクマネジメント、ケアマネジメント、介護経営についてもしっかりおさえておくことが必要だ。
たびたび改正される介護にかかわる法律について知っておくことも、強みになるだろう。どこに行っても通用する幅広い知識を持つ「高齢者介護のプロフェッショナル」になることが、自身の将来を明るく照らすことにつながる。
<高齢者介護業界は、介護サービス事業者が激増する一方で、事業・サービスの中核となる人材が絶対的に不足しています。そのため、今でも優秀な管理者やケアマネジャー、介護看護スタッフには、他の事業者から高い給与・待遇で引き抜きの声がかかっています。それはその人の仕事・能力が、個別企業に求められているのではなく、これからの社会に必要とされているからです>
著者の濱田さんは「介護のプロになれば、未来が広がり、世界が広がっていく。そのための努力が無駄だと諦めていないか、ということです」と強調している。
毎日、淡々と仕事をこなすだけになっている介護職にとっては、自分を奮い立たせるきっかけになるのではないだろうか。
著者プロフィール
濱田 孝一(はまだ・こういち)さん
経営コンサルタント、社会福祉士、介護支援専門員、建物設備取引主任者、ファイナンシャルプランナー。1990年立命館大学経済学部卒業、旧第一勧業銀行入行。その後、介護職員、社会福祉法人マネジャーを経て、2002年に住宅コンサルティング会社を設立。現在は、高齢者住宅の開設、運営サイト「高住経ネット」の主幹として高齢者住宅のコンサルティングを行っている。