■書名:介護界のアイドルごぼう先生の みんなを笑顔にする魔法
■著者:簗瀬 寛
■出版社:講談社
■発行年月:2017年10月
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大人気「ごぼう先生」が導き出した、皆が笑顔になれる介護とは
「ごぼう先生」とは、著者の簗瀬寛(やなせひろし)さんの愛称だ。
愛知県岡崎市でデイサービスを経営する一方で、全国の介護施設や公民館などに出向き、自ら考案した介護予防体操を教えている。
「ごぼう先生」の「ごぼう」は、介護の「ご」、予防の「ぼう」から。体操指導の際に名乗る名前なのだという。
本書は、簗瀬さんが2つの活動から導き出した「介護のモットー」「介護予防のコツ」「介護する側の心の持ち方」をまとめたもの。
どの施設に行っても必ずみんなを笑顔にするという彼の言葉は、明るく親しみやすくて、わかりやすい。
高齢者本人だけでなく家族も介護スタッフも、読めばきっと心が軽くなることだろう。
第1章には、特に高齢者に向けて、老いをポジティブにとらえて生きるためのヒントが満載だ。
キーワードは「できなくて当たり前!」。例えばこのような言葉が並ぶ。
大事なのは「できること」じゃない、楽しむこと!
完璧を目指しちゃダメ! 70点がちょうどいい
介護サービスを受けること=人生の終わりではない!
深呼吸も立派な体操!
ごぼう体操では、できないことで落ち込む必要はない。うまくできなくても、楽しめて笑顔になれることをめざしている。
楽しいと思えば、次につながり続けたくなる。楽しいと思えないことを無理してやっても、あまり効果は上がらないものだ。
これは体操に限ったことではない。楽しさが先にあってこそ動きにつながり、結果的に生活の質を上げられる、と簗瀬さんは考える。
第2章は、高齢者を支える家族へのアドバイスだ。こちらも経験に裏打ちされた内容なので、ストンと納得できる。
家族としての向き合い方や介護のコツ、さらには早めにプロに助けを求めることもすすめてくれる。「介護はプロに、家族は愛を」という言葉が印象的だ。
介護という「行為」は、ある程度人に任せていいのだと話す。この言葉に救われるご家族も多いことだろう。
介護職の立場で読むなら、第3章は必読だ。介護の現場で働いている人も、介護の仕事をめざしている人も、著者の笑顔あふれるポジティブな取り組みから力をもらえるはずだ。
著者は自分を「笑顔を作るパフォーマー」ととらえ、笑顔についてこのように話している。
<やはり笑顔が増えると体調がよくなる方も多いですし、何より一瞬の笑顔が見られることで、家族もスタッフもすごくホッとできるんですよね。介護は決してラクなものではありません。そんな中でも、たまにブワッと笑ってくれると、疲れが吹っ飛んだりするんですよ。僕たちもその一瞬の笑顔のために頑張っている、と言っても過言ではないと思います。>
著者考案の「ごぼう体操」も、最後の章でその一部が紹介されている。
介護する人もされる人も笑顔になれる、車いすで歩けなくても半身がマヒして動かせなくても楽しめる、そんな体操なのだそうだ。
どのような立場で読んでも、心と体が楽になる一冊だ。
著者プロフィール
簗瀬 寛(やなせ・ひろし)さん
株式会社GOBOU 代表取締役。鍼灸師。社会福祉主事任用資格。
1985年、愛知県岡崎市生まれ。日本福祉大学卒。大手鍼灸接骨院の勤務を経て、2014年より喫茶店のような地域密着型デイサービス「リハビリカフェ倶楽部 岡崎店」を開店。その一方で、全国各地の介護施設で“大人のための体操のお兄さん”ごぼう先生として健康体操の普及に努める。これまでに全国300ヵ所、1万人以上と一緒に健康体操を行う。