■書名:お年寄りとコミュニケーションが深まる!楽しく盛り上がるレクリエーション100
■監修:加藤 翼
■出版元:ナツメ社
■発行年月:2016年3月
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目的に合わせて、すぐに使えて、介護スタッフも楽しめる100のレクリエーション!
高齢者福祉施設において、レクリエーションは欠かすことのできないプログラム。
とはいえ、身体状況も要介護度もバラバラな利用者の誰もが楽しめるレクリエーションを計画するのは、スタッフにとってかなりの負担なのではないだろうか。
本書はタイトルにもある通り、いろいろなレクリエーションを100例も紹介しており、レクリエーション担当者の心強い味方となってくれる。
まず、レクリエーションを行うにあたって心がけるべきこと(レクリエーションの意義・目的、組み立て方、注意点、マナー)をわかりやすくまとめてある。
それによれば、レクリエーションの意義・目的とは下記のようなものだ。
・楽しみながら体を動かすことにより、身体機能の維持や向上を図る
・頭や手先を使うことによって脳が活性化する
・生きがいづくりや他者との交流などによってQOL(生活の質)の向上を図る
・高齢者の充実感や満足感につながる
また、レクリエーションを計画する際のポイントとして、5つのポイントが挙げられている。
1.人数に配慮する
2.能力にあったレクを選ぶ
3.レクにかける時間に配慮する
4.参加者のバランスを考える
5.意欲の沸くテーマ、楽しい雰囲気の演出
さらに、レクリエーション中の注意点や成功の秘訣、スタッフの服装や心構えなども掲載されている。
個々のレクリエーションは、体を動かす「スポーツレク」、頭を使う「脳トレレク」、音楽を使う「音楽レク」、ものづくりレクリエーションの「手芸&料理レク」の4分類。
各レクリエーションを行うのに最適な人数、目安の時間、どの機能に効果があるかが一目でわかるように工夫が凝らされている。
その他に、円滑に進めるためのポイント、コミュニケーションアップの声かけの例をオールカラーのイラスト付きで説明。
事前準備の多い・少ないも見出しに載っていて、実施までの時間に合わせて参考にできるのも嬉しい。
それぞれのプログラムは「ポンポンお手玉ダーツ」「フーフードミノ倒し」「クイズ私は誰でしょう?」「あの頃わたしは」など、楽しそうなネーミングが付けられている。
脳トレレクには「万国旗クイズ」や「名産地当てクイズ」「難読漢字読み当てクイズ」などがあり、スタッフの知識も上がりそうだ。
「手芸&料理レク」の参考資料として、「年中行事と季節の料理」「都道府県の郷土料理」の一覧表がついているのも心憎い編集といえる。
このような知識はレクリエーションだけではなく、日ごろの利用者とのコミュニケーションにも使えそうだ。
レクリエーションの語源はラテン語のrecreāreで、再創造、壊れたものがつくり直されること、人が病気から回復すること、課業の疲労をいやして元気を取り戻すという意味があるという。
そうであるならば、レクリエーションは単なるお楽しみ、気晴らしにとどまらず、利用者の生活を支える大事な役目も担っていると言える。
スタッフはそういったことも頭の片隅において、本書を参考にしながらレクリエーションを利用者と楽しんでみたらいかがだろうか。
監修者プロフィール
加藤 翼(かとう・つばさ)さん
アゼリーグループ社会福祉法人江寿会アゼリー江戸川主任。介護福祉士、認知症対応型サービス事業管理者、介護プロフェッショナルキャリア段位制度評価者(アセッサー)。認知症予防をコンセプトとして、それに関連づけたレクリエーション、アクティビティおよび個別機能訓練の実践に力を入れて活動している。