■書名:対人援助の現場で使える 承認する・勇気づける技術 便利帖
■著者:大谷 佳子
■出版社:翔泳社
■発行年月:2020年4月
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想うだけでは伝わらない!上手に「ほめる」技術で、人間関係が円滑に
だれでも、ほめられるとうれしいものだ。
人から認められると、ポジティブな気持ちになり、考え方や行動も前向きになる。
やる気や能力を引き出すきっかけになる。
本書では、相手を効果的にほめる方法として、心理学の理論にも触れながら、
『承認する技術』と『勇気づける技術』を教えてくれる。
あらゆる職場や現場で活用できるスキルだ。
本書の特長としては、あらゆる説明に具体例が示されていてわかりやすいことだろう。
言葉かけの例や会話例がふんだんに掲載されているので、理解しやすくそのまま実践にもつなげやすい。良い例と悪い例を並べて比べられる構成も、理解を助けてくれる。
次の2つの会話例では、本書が紹介するさまざまな技術によって、より良い人間関係が目指せることがよくわかる。
特別養護老人ホームに勤務する事務職の荻野さんと上司という設定の会話で、まずは改善前のものから見てみよう。
<改善前>
荻野さん「書類が作成できましたので、確認をお願いします」
上司「そこに置いておいて」(荻野さんなら、いつも通り丁寧に作成してくれているだろう)
荻野さん「はい……」(私がどのように作成したのか、興味ないのかな)
上司「では、次にこれをお願い」(荻野さんに任せれば大丈夫!)
荻野さん「はい……」(えっ、また私……? どうして?)
上司(本当に荻野さんは信頼できる部下だな)
この上司は、荻野さんの仕事ぶりを認めており、信頼しているからこそ次の仕事を頼んでいる。
しかし、
荻野さんにはまったくその思いが伝わっていない。むしろ不満の原因になっている。
言葉に出さない「褒めない思考」による悪い例と言えるだろう。
以下は改善例だ。
<改善例>
荻野さん「書類が作成できましたので、確認をお願いします」
上司「ありがとう。荻野さんはいつも丁寧に作成してくれるから大丈夫だと思うけど、この後、書類に目を通しておきますね」
荻野さん「はい、お願いします」
上司「この書類をお願いしたから、ここ数日忙しかったでしょう?次の仕事を頼んでも大丈夫?」
荻野さん「ええ、大丈夫です」(私が忙しかったこと、知っていてくれたんだ)
上司「荻野さんが担当してくれると安心なので、いつも大変な仕事をお願いしてしまうけど、負担になっているときは言ってくださいね」
荻野さん「はい、ありがとうございます」(私のこと、信頼してくれているんだ)
学ぶポイントとしては、
「感謝の言葉を伝えよう」「具体的な行動を伝えよう」「気づかいの言葉をかけよう」ということだ。
それぞれのポイントについては、さらに多くの言葉かけの例をあげた解説のページがある。
介護に携わるあらゆる立場の人にとって、それぞれの場所で活用していきたい内容だ。
介護の利用者とのコミュニケーションにはもちろん、組織内の人材育成や職員同士の良好な人間関係のためにも役立つことだろう。
著者プロフィール(引用)
大谷 佳子(おおや・よしこ)さん
Eastern Illinois University, Honors Program心理学科卒業、Columbia University, Teachers College教育心理学修士課程修了。現在、昭和大学保健医療学部講師。認定看護管理者制度教育課程講師。認知症介護実践リーダー研修講師。介護相談員養成研修講師。その他、医療、福祉、教育の現場の援助職を対象に、コミュニケーション研修及びコーチング研修、スーパービジョン研修などを担当。
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