■書名:まったく新しい介護保険外サービスのススメ
■著者:小濱 道博
■出版社:翔泳社
■発行年月:2017年2月
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介護・支援のニーズが多様化する今、注目の「介護保険外サービス」とは
「介護保険外サービス」とは「介護保険を使わない介護サービス」のこと。つまり、利用者の自費による介護サービスということだ。
“従来からの介護保険サービス”と“介護保険外サービス”を併用する「混合介護」とあわせて、近年急激に関心が高まっている。
介護に関係する人なら、無関心ではいられないテーマだ。
介護事業経営コンサルタントである著者の小濱氏は、介護経営セミナーの講師実績を数多く積んでこられた方。「介護保険外サービス」の重要性にいち早く着目した人物だ。
本書では、この新しいサービスに取り組む際に必要となるエッセンスやヒントがまとめられている。
第1章では、介護保険サービスを取り巻く現状を解説。主に介護ビジネスの観点から、問題点を抽出し分析している。
そして、なぜ今、介護保険外サービスに注目すべきなのかを次のようにまとめている。
<介護保険の市場は、地域包括ケアシステムと介護保険制度改革によって、重度者に特化、縮小しています。今後は、介護報酬だけに依存した経営は衰退します。複数事業化と介護保険外サービスの併設によって利用者を囲い込み、事業拡大を図ることが急務です。>
第2章から第7章では、本書のテーマである「介護保険外サービス」についての解説がたっぷりとされている。
介護サービスの新しいありかたとして、さまざまな角度からアプローチしており、アイデアや工夫もふんだんに掲載されている。
具体的には、次のような介護保険外サービスが取り上げられ、説明されている。
健康(運動、予防、リハビリ)/旅行、外出支援/生活支援(買い物、手伝い)/食事、宅配弁当/訪問理美容/見守り、ICTの活用/住まい、高齢者住宅/ペットケア/趣味・楽しみ/認知症・認知症予防/地域コミュニティ/看取り、終末期/家族支援、家族代理、エイジドシッター
こうした介護保険外サービスが成功するための秘訣は、「利用者と家族の夢を叶えること」。
つまり「あきらめていたことができる、と思ってもらうこと」なのだという。
たとえば、利用者や家族の「温泉に行きたい」「連れて行ってやりたい」という夢が実現できたとしたら――。彼らに大きな喜びをもたらすとともに、リピートしたいサービスだと感じてもらえるはずだ。
本書は主に介護保険サービス事業者を意識して書かれているが、ケアプランに関わる部分では、介護現場で働く介護職にとっても参考になる。
<保険外サービスをケアプランに位置付ける場合の注意点は、やはり利用者の負担能力にあります。利用者からの希望である場合は特に問題は起きません。ケアマネジャーの判断の場合は、その必要性や支払料金を十分に利用者やその家族に説明して理解を得ることが必要です。>
ケアマネジャーを始め、介護職にとっても、これまで以上に介護保険外の新サービスについての情報収集や理解が欠かせなくなっていくはずだ。
その第一歩として、本書の情報は大いに役立つことだろう。
著者プロフィール
小濱 道博(こはま・みちひろ)さん
小濱介護経営事務所代表。全国で介護事業の経営支援、コンプライアンス支援を手がける。介護経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。個別相談、個別指導も全国で実施。全国の介護保険課、介護関連の各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター等主催の講演会での講師実績も多数。C‐MAS介護事業経営研究会最高顧問、C‐SR一般社団法人介護経営研究会専務理事、NKK一般社団法人日本介護経営研究協会なども兼ねる。