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2019年11月14日

ケアマネを取り巻く最新事情!台風による試験延期の影響は?国家資格化は進む? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

ケアマネ試験当日に台風上陸。試験延期の影響は?


10月13日に実施予定だった、今年度の介護支援専門員実務研修受講試験(以下、ケアマネ試験)。
台風19号の影響で、関東を中心とした各都道府県で試験が相次いで中止に。
試験の中止が発表された自治体では改めて試験日を設定し、実施することになりました(*1)。
なお、再試験は2020年3月8日に実施されることになったと発表されています(*2)。

公的資格試験の実施延期といえば、記憶に新しいのが、2018年9月に新設された心理職の国家資格である「公認心理師」。
2018年が初年度、第1回試験でしたが、9月6日の北海道胆振東部地震の影響で、札幌市など北海道会場での試験実施が12月まで延期されました。

第1回公認心理師試験の合格率を見ると、9月実施分は3万5,020人が受験し、2万7,876人が合格。合格率は79.6%でした。一方、12月に実施された北海道会場の試験は1,083人が受験し、合格者数は698人。合格率は、64.5%に下がっています。


「公認心理士試験」では、追加試験で難易度と合格率に差が

第1回公認心理師試験では、北海道以外の地域で予定通り試験が実施されたため、北海道での12月の追加試験は異なる試験問題で実施されることになりました。
当初は、9月試験の問題を参考に勉強ができること、試験勉強期間が長くなることなどから、延期をうらやむ声もありました。

しかし蓋を開けてみると、試験問題の難易度が上がったとの声もあり、合格率が10%以上低下するという結果となりました。

こうしてみると、異なる試験問題で同一年度に資格試験を実施するのは、極めて難しいことだと感じます。試験問題の難易度を全く同じにすることは不可能に近く、どうしても不公平感が拭えません。
昨年度の北海道会場での公認心理士試験受験者は、複雑な思いだったことと思います。


ケアマネ試験の受験者数が激減!受験資格変更のほかに原因は?


今年のケアマネ試験もまた、台風19号の影響で、実施と中止(試験延期)の地域が出てしまいました。

10月の試験が中止された地域では、神奈川県など複数の自治体で、試験の実施は2020年1月以降になると告知。先日、再試験の日程が2020年3月8日に決定したことが各自治体から発表されています。
また、時間を繰り下げて実施した新潟県では、台風19号の影響で受験できなかった方への対応が検討されているとのことです。

10月に実施された試験問題は、社会福祉振興・試験センターのホームページで公表されており、公認心理師試験同様、異なる問題での実施となると思われます。公認心理師試験のように、試験問題の難易度、合格率に差が出ないとよいのですが……。

ケアマネ試験は、1998年度の第1回試験では約20万人が受験し、合格率は44.1%でした。
しかし、それから合格率はほぼ下がり続け(2017年度は突出して上がりましたが)、2018年度は、10.1%まで下がりました。
また、受験資格が厳しくなったこともあり、受験者数も大幅減となっています。


(厚生労働省の発表より筆者作成)

ケアマネ試験の受験資格は、医師、看護師、社会福祉士、介護福祉士などの国家資格に基づく業務、あるいは、生活相談員、支援相談員などの相談業務に、5年かつ900日以上従事した者とされています。
以前は国家資格がなくても介護の現場経験があり、5年以上・900日以上の実務経験があれば受験できたのですが、2018年度から受験できなくなりました。

受験者数の大幅減を見ると、介護福祉士資格を持たない介護職の方が、いかにたくさん受験していたかがよくわかります。

近年では、法人内で受験資格を満たした介護職がケアマネ試験を受験して資格を取得。そのまま、法人内でケアマネジャーの仕事に就くケースが多いようです。
そのため、ケアマネジャーの求人は減っていると聞きます。
そうしたことも受験者数の減少に影響しているのかもしれません。今年度も、受験者数の大きな回復はないようです(*3)。


ケアマネジャーの国家資格化は実現するか

一方で、介護支援専門員協会の一部の県支部からは、ケアマネ資格の国家資格化に向け、ケアマネジャーとしての合意形成を図る動きが出ています。

ケアマネジャーは資格取得後、5年ごとの更新制になっていますが、有資格者にはこの更新制に対する不満も強い様子。
また、受験資格として国家資格を求めているのに、取得したケアマネ資格が国家資格ではないことがそもそもおかしい、という声もあります(*4)。

筆者は身内に要介護者があり、ケアマネジャーの仕事の尊さ、ありがたさを痛感しています。
ケアマネジャーの業務は煩雑で難しく、その業務に真剣な姿勢で取り組んでいるケアマネジャーにとっては、社会的地位も給与水準も十分とは言えないと感じます。

一方で、ケアマネジャーによって、資質、あるいは取り組み姿勢にバラツキがあるという指摘もしばしば耳にします。
そのバラツキが、給与水準等のアップへの妨げになっているとも言え、全体のレベルアップが必要であることは否めません。

ケアマネ資格の国家資格化が、全体のレベルアップにつながるかどうかはわかりません。
しかし、国家資格となることでケアマネへの注目度が高まり、この仕事の魅力がもっと多くの人に伝わることで、より高い資質や意欲を持つ人が集まるようになるかもしれません。

より多くの人材が集まることで、ケアマネジャーのより一層の質の向上が図られることを期待したいものです。

<文:介護福祉ライター・社会福祉士・公認心理師・臨床心理士 宮下公美子>

*1 ケアマネ試験の中止相次ぐ、台風19号への対応で(ケアマネジメントオンライン 2019年10月11日)
*2 中止となったケアマネ試験、再試験は来年3月8日に実施へ(JOINT 2019年11月13日)
*3 今年度のケアマネ試験、受験者数の大幅回復なし 東京・大阪などで微増の見通し(ケアマネジメントオンライン 2019年9月20日)
*4 国家資格化、更新研修廃止に期待の声も―ケアマネの8割が賛成(ケアマネジメントオンライン 2019年9月26日)


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