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2020年04月22日

感染者発生に備えて、動線や衛生資材の検討を!【介護現場の新型コロナ対策】 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

集団感染で「病院化」した知的障害者施設の現状

入所者、職員、家族など118人への新型コロナウイルスの集団感染が起きた、千葉県の知的障害者施設。施設全体を「病院化」した、必死の対応が続けられていることが報じられました(*1)。感染した入所者は徐々に回復してきているそうです。

新型コロナウイルスは、福祉施設や病院での集団感染が増えています。
感染症に詳しい医師や看護師でないと、感染の恐れがある「レッドゾーン」、消毒を施した「クリーンゾーン」、防護服の着脱場所などの「セミクリーンゾーン」を明確に分け、動線を設定するのは難しいといわれています。

そうした専門知識を持つ医療職は人数が限られており、医療職であっても、手順の間違いなどから感染してしまうリスクがあるようです。マスクや防護服などの衛生資材の不足も深刻化しています。

千葉県の施設では防護服が不足し、ゴミ袋で代用しているとのこと。その防護用ゴミ袋や手袋の着脱は一人ではできず、手伝ってもらいながら3分もかかると記事には書かれていました。
そうした対応だけを見ても、第三者には想像がつかないほどのストレス状況だと思います。

この施設では職員の2/3近くが感染しています(2020年4月18日現在)。
感染していない職員へのケアの負担の増大が気になります。

それだけでなく、ケアの維持のためにも、自分自身の家族を守るためにも、自分が感染するわけにいかないという危機感、緊張感がまたストレスになっているのではないかと心配です。


“感染者発生”に備えて、動線や衛生資材の事前準備を!

新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない今、『いつ自分が感染してもおかしくないという危機感を持つこと』、あるいは、『すでに感染しているかもしれないという意識での行動』が必要です。
4月16日には、感染が明らかになったフリーアナウンサーの女性が、感染に備えてどんなことをしておくべきかなどをまとめた文書を公表していました(*2)。

・2週間の隔離生活に必要な入院グッズをあらかじめ揃えておく
子どもがいる場合はその預け先を決めておく
など、とっさにはなかなか思い至らない対応について、冷静に考え、備えていることが話題になりました。

介護施設や介護事業所では、感染予防については、面会の中止や、職員の検温消毒の徹底などにより、できる限りの対応をしていることと思います。

一方、もし感染者が発生したらどう対応するかについて、どの程度考えられているでしょうか。
「レッドゾ-ン」「クリーンゾーン」などの区分けはどうするのか?
動線はどのように分けて確保するのか?
衛生資材が不足した場合は、何で代用するのか?

感染が広がっている地域では、こうした具体的な対応についての検討が必要な段階に来ているように思います。


デイで営業短縮・訪問介護サービスの提供も可能に

4月16日には全国に緊急事態宣言が発出されましたが、それでもデイサービス等は運営の継続が求められています。利用控えも増えている中、デイサービス等はどのように運営するのか難しい選択を迫られています。

すでに、時間を短縮して運営しているデイサービス等も増えています。これに対応し、厚生労働省からは『デイサービスで入浴と食事の提供だけを行い、2時間未満の利用としても、2時間以上3時間未満の算定が可能』など、柔軟な対応が示されました。

厚生労働省では、デイサービスが休業して訪問サービスを提供することも、訪問と通所と両方を提供することも3月の時点ですでに認めており、事務連絡を発出しています。

しかし実際には、デイ施設での介護と、利用者宅での介護では、求められるスキルが異なるため、デイ職員が訪問サービスを提供するのは簡単ではないという声もあります。
今後は、こうした提供するサービスの変更も想定したスキルアップも、リスク管理の一環として求められていくかもしれません。


「現在」の感染症に対応しつつ「次」につながる対策と記録を

地震への備えはある程度進んでいた介護施設や介護事業所も、昨年の台風被害で水害への対策不足を痛感したところが多かったことと思います。

そして今回、未知の感染症との戦いが始まり、また手探りの日々となりました。
ストレスが続く状況ではありますが、こうした経験が次への備えとなっていくことは間違いありません。

2015年にMERS(中東呼吸器症候群)の大流行を経験した韓国は、そのときの経験を生かし、今回の新型コロナウイルスに関しては、迅速で極めて有効な対応により、感染の封じ込めに成功しつつあります。

新型コロナウイルスとはまだ長い戦いになりそうです。
そして、こうした未知のウイルスは、今後もまた発生するのかもしれません。

そのとき、もっと迅速、効果的に対応できるよう、今回の新型コロナウイルスとの戦いから学べるだけ学び、それを記録に残しておきたいものです。

<文:介護福祉ライター・社会福祉士・公認心理師・臨床心理士 宮下公美子

*1 新型コロナ 「病院化」苦闘の施設 居住域分離(毎日新聞 2020年4月19日)
*2 【追記あり】「たまむすび」リスナーの皆様へ~赤江珠緒さんからのお手紙(全文)(TBSラジオ 2020年4月16日)

 

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