音楽で介護の世界を楽しく変えたい、介護の問題解決につなげたい。管偉辰さんの夢は、現実に近づきつつあります。柴田さんという音楽の専門家に出会い、ビジネスパートナーとなったことをきっかけにスタートした株式会社リリムジカ。今は柴田さんの他に9人のミュージックファシリテーターとともに、組織を支えています。管さんのインタビューの最終回である今回は、「組織と人」をテーマに、展開します。
○●○ プロフィール ○●○
管偉辰(かん・いたつ)さん/株式会社リリムジカ 代表取締役 共同代表
1986年、東京都生まれ。台湾人の両親のもとに生まれ、日本人として生活する。一橋大学商学部在学中から起業家を志す。2008年、創業時代表の柴田萌さんと共に株式会社リリムジカを設立。2011年に柴田さんと交代して代表取締役に就任。プログラムを実施する介護施設の開拓やミュージックファシリテーターの後方支援に尽力。
株式会社リリムジカ
スタッフの採用には妥協しない
スタッフの皆さんと、リリムジカの「L」のポーズ!
――当初は、柴田萌さんだけだったミュージックファシリテーターも、事業拡大とともに、どんどん増えていますよね。
おかげさまで、現在10人が活躍しています。各地でプログラムを行うためには、多くのミュージックファシリテーターが必要です。年に数回、会社説明会を開催して募集をし、選考をしています。
しかし、採用には妥協しません。ミュージックファシリテーターには演奏家と異なるスキルが必要です。演奏技術に加えてコミュニケーション能力も求められます。2014年に行った会社説明会には、合計75名がいらっしゃいました。そのうち、面接を通過したのは10名程度、実技試験を一発合格したのは1名だけでした。
――具体的に言うと、どのような人に適性があるんですか?
ピアノが弾けるだけではダメですね。ピアノとか歌の「先生」のようなことは期待していません。「練習をして歌えるようになっていただく」のではなくて、参加された方が「気づいたら自然に歌って楽しんでいる」ということを実現できる方が、理想です。
そのためには、高齢者の方と自然に接して信頼を得られる方がいい。かといって、「ピアノが弾ける介護職員の方」とは違う素養も必要です。音そのもので高齢者の方を動かせるような、音楽的なクオリティの高さも望みます。
要求はとても高いのですが、今活動しているミュージックファシリテーターは、みなさんいきいきと仕事をしていますよ。たとえば、かつて介護事業所の中で働いていて、今、うちに所属している50代の方がいるんです。その方は、いろいろ悩んでうちで活動を始めたのですが、ものすごい売れっ子で。「人生変わった」なんて言ってくれています。仕事に対する意欲が高い人たちばかりです。
リリムジカの仕事は1人で現場に行って、1人で帰ってきます。ミュージックファシリテーターはみな、凛々しくてカッコいいですよ。
リリムジカのミッションは、「音楽を通して人が自分らしく生きられる社会をつくる」です。利用者さんはもちろん、介護職員の方も、ミュージックファシリテーターも自分らしく生きられる場をつくりたいと思っています。
新しく入る人には、いつも「あなたの夢を叶えられるよう、いっしょにがんばりましょう」といいます。今、人生のこのタイミングでリリムジカで働くことが、ベストチョイスであるように、僕も努力していきたいですね。
チャレンジして、成長しよう
2010年ご長男誕生。ご家族との時間も大事にされている
――リリムジカでは、起業を考えるような積極的な学生をインターンとして受け入れていますね。
はい。インターン生は、ただ組織をのぞき見て、業務の一部を担うだけではありません。プログラム実施先施設の開拓リーダーとして働きます。オフィスにこもって仕事をするのではなく現場でプログラム参加者の笑顔や施設職員の喜びを見届けられる点にやりがいと面白さがあると思います。
――介護業界で働く方々、また転職を考える人たちに、管さんの目線で何かアドバイスはありますか?
「介護業界は給料が安い」と不満を言う方がいますよね。だから、辞めて新しい職場を探すのだ、と。もし給料を上げたかったら、結果を出し、給料の交渉をしてはいかがでしょうか。今自分が所属している組織の状況を知り、何をしたら事業が成長するのかを考え、提案し、実行したらいいと思うのです。
目標を持てば、壁は壁ではなく、乗り越えるべきハードルになります。一つ乗り越えたら、その分自分も成長します。私もそうやって事業を営んできました。ぜひ一緒にがんばりましょう!
介護求人ナビの求人数は業界最大級! エリア・職種・事業所の種類など、さまざまな条件で検索できます