毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「元ヤン介護士は有能?」という話題について紹介します。
元ヤンキーの介護職って、多いの?
近年、都心部で“不良らしい不良”の学生を見かけることもすっかりなくなったが、いわゆるヤンキー的な文化は健在だ。「介護」と「ヤンキー」は一見まったく結びつかなさそうだが、インターネットの質問サイトには、
「介護職は、元ヤン(元ヤンキー)が多いのですか?」
といった質問が寄せられている。果たしてこれは事実なのだろうか? 関西地方で10年以上ヘルパーとして働いているHさんは苦笑しながらこのように答えてくれた。
「そうですね、新人に面と向かって『ヤンキーだった?』とはなかなか聞けないので、多少は想像も入ってますけど、『この子は絶対ヤンキーだったんだろうな』と思う子もいます。私が働いてきた施設では、特に女性介護士にヤンキーっぽい雰囲気の子が多いことは否定しませんね」
利用者の嫌味やワガママを、サラっと受け流す
男性の介護士に関しては否定したものの、女性の介護士については「“元ヤン”っぽい子は多いですね」と語るHさん。「元ヤンだろう」と推測できる理由を聞いたところ、
・休憩時間にタバコを吸う姿
・通勤で使っている車の雰囲気(車高が低い、タイヤのホイールやハンドルが純正品から変えられている、窓がスモークで真っ黒)
・ピアスの穴の数、穴を開けている場所(鼻、眉毛の部分、口、へそ)
・プライベート時の服装(ジャージ&サンダル、肌の露出が多い)
・出身校(田舎なので、出た高校でおおよその検討がつく)
・「はぁ?」「何すかそれ?」といった話し方
・過去の武勇伝を語る(「誰々を殴った」「バイクに乗ってたら警察が来て…」といった具合)
など、スラスラとその理由を次々と挙げてくれたが、彼女は「元ヤンはダメ」と言いたいわけではないという。
「元ヤンの人たちは、少々のことじゃへこたれないという印象はありますね。ヘルパーをやっていて、さまざまな利用者と接していると、嫌味やワガママを言われることも日常茶飯事。中には、いつまでもそのことを気にしちゃうような人もいるんですけど、元ヤンの人たちは、嫌味やワガママを『ハイハイ分かりました』と、受け流すことができる。そういう能力は、ヘルパーとしてやっていく上で重要だと思います。
それから元ヤンの人って、“アツい”んですよね。こっちがさっさとやることだけやって帰ろうと思ってるのに、おばあちゃんの昔話を聞いて涙ぐんだりしてね(笑)。後は、基本的には目上(≒先輩)を尊重するから、上の立場としてはやりやすい」
このように「元ヤン=有能」説を唱えるHさん。ただし利用者からは、ヘルパーの髪の色などでクレームが入ることもあり、「あんまり厳しくすると辞めちゃう」(Hさん)ため、そのあたりのバランスはなかなか難しいそうだ。
事業所によってもさまざまなので、一概に「介護に元ヤンが多い」、「元ヤンは有能」とは言えない。ただ、介護にはさまざまな業種からの転職者が多く、学歴やそれ以前の職歴よりも、いわば人間力が試される、という面があるのも事実だろう。
それが、この介護の仕事のおもしろさの一つかもしれない。
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公開日:2015/7/27
最終更新日:2019/4/3