毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「ヘルパーをやりたい人はまだまだいる?」という話題について紹介します。
30代子持ちの主婦が、あえて「介護の仕事」を選んだ理由
東京労働局が2015年10月30日に発表した9月の都内の有効求人倍率は1.83倍。65か月連続で前年同月を上回っており、なかでも介護分野の求人倍率は5.69倍と、極めて高い水準にある(*)。介護業界の人手不足は数字からも明白だが、現役ヘルパーのAさんは「介護の仕事をしたい人は、まだいるはず」と語る。
Aさんは現在30代で3人の子持ち。結婚前は派遣社員として働いていたが、第一子をみごもった際に退職。子供の世話が一段落し、さらに家計を助けるために仕事を探し、数年前からヘルパーとして働いている。Aさんはヘルパーを選んだ理由をこう語る。
「自分は高校を出た後2年ほど働いただけですぐ家庭に入ってしまい、社会経験も乏しい上に、資格や知識もまったくありません。だからこそ『さあ働こう!』という時に、ただお金を稼ぐのではなく、何か一生役に立つスキルが得られる仕事がしたかった。その条件に合致したのがヘルパーでした。ゆくゆくは同居している義父母を介護することにもなりますし、一石二鳥です」
専業主婦のママ友は、「ヘルパーの仕事」に興味津々?
「給与面に関しては満足とは言えないが、出来る限り続けたい」と語るAさん。いわゆる“ママ友”とおしゃべりをしていると、ヘルパーや介護業界に興味を持つ人は少なくないという。
「専業主婦の友達のなかには、時間を持て余していて、とにかく外に出たがっていたり、何も資格やスキルがないことに不安を抱えていたりする人が結構います。けれども彼女たちは、『でも私たちを雇ってくれる所なんてないわよね……』と、なかなか踏み出す勇気がない。だから私はいつも『ヘルパーはどう? 家事ができればできるわよ』と言っているんです」
実際にヘルパーとして稼働するとなれば、家事以外の知識・技術やコミュニケーション能力が求められるため、Aさんの口説き文句は“誇大広告”とも言える。しかし介護の仕事の中でも「生活援助」の部分は、大半が、普段専業主婦がやっていることの延長線上にあるのも事実。Aさんいわく、「身内に介護の世話になっている人がいないと、『生活援助』という仕事があることさえ知らない」。だから「『家事ができればできる』という口説き文句には、ものすごく食いつく」そうだ。
Aさんの話を聞いた専業主婦たちは、必ずと言っていいほど、「家事をやってお金をもらえるなら喜んでやるわよ」「普段家でやってる時もお金欲しいわよね」と、遠い目をするのだという。だが、まだAさんの誘いに乗ってヘルパーを始めた人はいないということ。
人材不足の介護業界。こういう専業主婦層に一歩踏み出してもらう方法を、もっと考えてみたいところだ。
*東京の一般職業紹介状況(平成27年9月分)<厚生労働省PDF>
公開日:2015/11/23
最終更新日:2019/4/7