毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「新人歓迎会の悲劇」という話題について紹介します。
歓迎されない歓迎会があるなんて…
年度が入れ替わり、やる気に満ちたフレッシュな新人が入ってくる4月。介護業界でも他の業界と同様、新人が入ってくれば「新人歓迎会」と称する飲み会が催されることが多い。しかし、時には笑えない珍事件もあるようだ。
訪問ヘルパーとして足かけ10年以上働いているNさんは、これまで数か所の事業所で働いてきた経験の持ち主。Nさんはかつて、“歓迎される側”として新人歓迎会に出たものの、“まったく歓迎されなかった事業所”があったという。
その飲み会はスタートからおかしなことだらけだった。まず、Nさんを歓迎する会のはずなのに、指定された会場に定時に現れたのはNさんのほかに1人だけ。その人に「まぁ、始めちゃいましょう」と言われ、チビチビと飲み始めたNさんだったが、遅れてきた人も「どーもー」「チーっす」といった具合で、遅刻を悪びれる様子がまったくなかった。そこでNさんが、隣に座った女性から少しずつ話を聞き出すと、判明したのは以下のような事実だった。
・飲み会を仕切るはずだった正社員は、仕事が終わらずに不参加
・今日の飲み会が「Nさんの歓迎会」ということはほとんどの参加者に伝わっていない
・入職・退職が頻繁にあるため、飲み会に知らない人(=Nさん)がいても、誰も何も思わない
「その時はまだ若かったので、『こんなもんなのかな』と思ったんですが、いま考えたらかなりヒドイですよね。実際、サービス残業がメチャクチャ多い職場で、親にも心配されてすぐ辞めましたけど」
そんな苦い経験を持つNさん。しかし“歓迎する側”として新人歓迎会に出席した際に、ヘマをやらかしたこともあるという。
歓迎会が、不平・不満のはけ口の場に…
「その時は、20歳そこそこの若い子を歓迎する飲み会でした。最初のうちは、『何でこの仕事に?』とか『若いわねー。お母さんいくつ?』なんて、新人の子を中心にして飲んでたんです。けど、普段ヘルパー同士で飲むことが滅多にないので、だんだんと旧知のヘルパーとのおしゃべりが盛り上がってしまい、気がついたら会社(事業所)への不平や不満をぶちまけ合う悪口大会になってたんです。これからそこで働き始めようって子がいるのに……」
幸いなことにその若い子は、「本音が聞けて良かったです」と感謝の言葉を述べ、いまもNさんと一緒に働いているそうだが、「あれで辞めても不思議じゃなかったですよね」と、振り返るNさん。
介護業界に限った話ではないが、歓迎会でのお酒の飲み方には十分に気をつけたほうが良さそうだ。
公開日:2016/4/18
最終更新日:2019/5/26