毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「介護業界に就職して女性恐怖症が改善?」という話題について紹介します。
男だらけの人生から一転、女性が多い介護業界へ…
介護の世界に携わった経験がある人や、介護職のお世話になった身内や親族がいる人には常識だが、介護業界は圧倒的に女性が多い。スタッフの大半が女性、という事業所が多いのだ。
このような話を聞くと、介護業界を志す男性の中には、「女性は苦手で…」と尻込みしてしまう人もいるだろう。しかし、都内の事業所で訪問ヘルパーとして働く30代の男性スタッフのTさんは、この業界で働くことで“女性恐怖症”がかなり改善されたという。
Tさんは学生時代、柔道の選手としてならし、卒業後は整体師の道へ。専門学校に通ってしかるべき資格を習得し、整体師として働いていた。しかし、いつまで経っても収入が上がらないことに嫌気が差し、30代直前にして介護の世界に飛び込んだ。
そんなTさんだったが、介護業界に転職するにあたって、大きな心配事があった。それは、とにかく女性に免疫がなかったことだ。Tさんは、体格ががっしりしたズングリムックリの体型で、体毛が濃くて頭の毛が薄い、いわゆる「男性ホルモンの多い」タイプ。一人っ子のうえ、中学・高校と男子校の柔道強豪校に通ったTさんは、とにかく男だらけの人生を過ごしてきた。
女性と接することで徐々に慣れてきて…
しかし訪問ヘルパーとして働き始めると、真面目で純情そうなTさんが不器用に女性に接する姿は、周囲には好感がもてるものとして受け止められたようだ。Tさんの先輩のHさんはこう語る。
「やっぱりこの業界は、利用者に信用してもらうことが一番大事。そんな時、T君みたいなタイプは、お年寄りからは好感度が高いみたいなんですよね。ウチのスタッフにも、茶髪でチャラチャラしたルックスの若い男の子がいるんですが、そういう子は、『この子、ちゃんと仕事するのかな』と、まず色眼鏡で見られるんです。その点、T君はそういう心配がない(笑)。本人がどう思ってるか分かりませんけどね」
Tさんは、自分の母親のような年齢の先輩女性スタッフから可愛がられ、Hさんら“ちょっと年上”の女性スタッフから適度にからかわれる中で徐々に女性との距離感を掴んだ。「最近ようやく、女性の目を見てしゃべれるようになった」(Hさん)とのこと。
ただしHさんによれば、Tさんから「彼女が出来ました」という報告は、まだ聞けていないそうだ。