毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「お年寄りたちもスポーツの祭典で大興奮」という話題について紹介します。
介護施設でもスポーツの祭典を楽しむ利用者が続出
今年の夏を大いに盛り上げたのがリオで開催されたスポーツの祭典。日本チームは大いに活躍し、国中が感動と興奮に包まれましたが、介護施設や訪問介護サービスを利用するお年寄りの間では、ちょっとした珍プレーも繰り広げられていたようで……。
都内の介護付き有料老人ホームに入居する90代の女性・Yさんは、福原愛、石川佳純、伊藤美誠の3選手が出場した卓球・女子団体にハマりました。絶対に試合を見逃したくなかったYさんは、ことあるごとに職員に「次の試合はいつ?」と尋ねるため、ついにYさんの引き継ぎ事項として卓球女子団体の試合時間が書き込まれることに。その甲斐あって、Yさんは無事にすべての試合を観戦出来ました。
その老人ホームでは、入居者と職員が一緒になって、サッカーの男子日本代表の試合を観戦しました。「頑張れ!」「それ行けっ!」と歓声が飛び交い、試合の残り時間も少なくなった瞬間、試合を見ていた80代のSさんが突如言いました。
「ところでどっちが日本?」
周囲の人は大いにズッコけたわけですが、Sさんによれば、「最近の子は髪を染めてるから日本人だか何だかよく分からない」とのことだったそうです。
閉会式を利用者さんと一緒に見ていた時に…
そしてこんな話もあったようです。訪問ヘルパーのHさんは、こう語ります。
「ちょうどある利用者のお宅を訪ねた時に、リオで開催されたスポーツの祭典の閉会式の中継をやってたんですね。それで利用者の方と一緒にそれを見ていると、閉会式の最後の方で『次の開催は東京』っていう場面になったんです。なので『次はいよいよ東京で開催ですね。楽しみですね』みたいなことを言ったら、その利用者さんが『見られたらいいけど……』って仰ったんです。
確かにその利用者は90代の後半で、現在の要介護度は4。『しまった!』と思いながらも、それまで元気でいて欲しいので『○○さんなら大丈夫ですよ~』って言いました。けれど、少し気まずいものはありましたね」
お年寄りにとっても4年に一度のスポーツの祭典はやはり特別なイベント。前出のHさんによれば、「これまで一度もスポーツの話しをしたことがない人が、スポーツの話題を振ってきたり、私が生まれるはるか昔に開催された頃の話しをしてくれたこともありました」とのこと。鍛え上げられたアスリートの姿は、深く心に刻まれるもののようです。