毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「介護の外国人受け入れ枠拡大」という話題を紹介します。
外国人の介護職員に求められること
介護業界の人手不足が深刻さを増すなか、介護現場で働く外国人の受け入れ枠を拡大する法案が11月18日に参院本会議で可決した。「2025年度には38万人不足」と推測される介護職の人手不足解消策として注目を集めている。
日本の少子高齢化が急ピッチで進行する以上、足りない介護職の人材を諸外国に求めるのは必然かとも思われるが、これは現実的な施策なのだろうか? 都内の介護施設で働くNさんは、「どのような制度になるのかよく分かりませんが……」と、断りつつも、厳しい見かたを示す。
「いくら外国人が『日本語を勉強しました』と言っても、細かいニュアンスが伝わらないとちょっと怖いですよね。もともと介護サービスを利用するお年寄りは、声が小さかったり、はっきりと喋ることができなかったり、お年寄り独特の言い回しがあったりして、介護経験者の我々でもなかなか聞き取りづらいものです。利用者が体の不調を訴えたりした時、外国人がきちんと対応できるのかどうかも疑問です。」
政府案では、入国時に「基本的な日本語を理解できる」という条件を設定し、2年目には、「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる」というハードルを与えることで、コミュニケーション不全を回避するねらいだ。しかしNさんは、こんな事実も指摘する。
介護職は書く仕事も非常に多い
「介護業界の人間しか知らないでしょうけれども、介護の仕事って書く仕事がものすごく多いんですよ。サービス記録、日報、引き継ぎなど。外国人はそういうのもやることになるんでしょうか? もしそれができない場合、それは誰がやるんでしょうか?
日本語ができて、日本語で書類も書けるスキルがある人だったら、わざわざ日本語しか使わない介護職の仕事を選ばずに、母国語と日本語を両方活用できる仕事に就くのでは?と思ったりもします」
今回の決定に対し、ツイッターユーザーからは、
「優秀で志ある外国人が入ってくるのは大賛成」
「やっと決まったね~待ってました」
という外国人を歓迎する声もあがっているものの、
「そもそも人材不足の原因を追求しようとしないし」
「今現在頑張ってる介護職員の待遇を改善するのが喫緊の課題ですよ」
「まあ『日本人の待遇を良くするくらいなら、外国人雇った方がお得』って事なんだろうな…」
など、政府の方針に批判的な声が圧倒的多数という状況。
「外国人を入れるのは安易。ただの政府の怠慢」
「なり手がいないから外国人受け入れというのは安直に過ぎますね」
という声も寄せられている。外国人への門戸開放はいわば“最後の切り札”だが、介護の現場では歓迎されているとは言い難い状況のようだ。