毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「短所を長所に言い換えて、面接でアピール!」という話題について紹介します。
短所に見える性格でも、考え方の変換で長所に
転職活動の面接で必ず訪れる自己PRの時間。
「仕事が遅い→慎重なタイプ」
「飽きっぽい→好奇心が強い」
など、短所を長所に言い換えるのは、面接の基本的なテクニックだが、何とかアピールしようという気持ちが強すぎて、結果的におかしなことを言ってしまうことも少なくない。
都内の訪問介護事業所で採用面接の面接官を何度も担当し、これまで数え切れないほど多くの応募者と面談をしてきたハセガワさんがいう。
「『十数軒の介護施設で働いたことがあります』という自己PRをした方がいました。年配の方ならともかく、まだ20代だったので、どうしてこんなに転職回数が多いんだろう、と疑ってしまいました。
話を聞くと、彼女なりに介護についての理想があるようで、“理想のケアができる施設”を探しているようでした」
この女性は介護の資格をいくつか持っていたため、熟考の末に即戦力として採用。利用者さんへの接し方やスタッフとの人間関係も良かったものの、危惧していた通りあっという間に辞めてしまい、唇を噛むことになったのだそう。
自己PRで聞きたいことは「どう仕事したいか」
また、ハセガワさんが担当した面接ではこんなケースもあったという。
「先日、『私はガラスのようなハートの持ち主で……』と、面接中に言った方がいました。“人見知り”“引っ込み思案”と言いたかったようですが、自分から言うことではないですよね。
『人見知りで自分から話すのが苦手な分、相手のお話はしっかり聞くようにしています』
のように、自分の性格を踏まえてどのように仕事をしているかを説明されると、この人は一緒に働けそう、などイメージできます。
『私はウソが嫌いで、ウソは絶対つきません』という自己PRも聞いたことがありますが、利用者さんとの雑談で本音トークばかりされたら、会社の評判に傷が付くこともあります。
それだけで不採用にはしませんが、
自分の性格を介護の仕事にどう活かしたいかを考えている人の方がいい印象になることは確かですね」
一方ではこんな現実もあるという。
「協調性をアピールした人が“1人では何もできない人”だったり、『何ごとにも手際が良い』と言った人が、ただのせっかち人間だったり、『人の世話を焼くのが好き』と言った人が、実際には“おせっかい”だったり。
面接で自分の性格を上手に言い換えるのは当たり前ですから、別に目くじらを立てることではありませんが、一緒に働くようになって、苦笑いするような場合もありますね」
これから面接を受ける人にアドバイス!
ハセガワさんは、これから面接を受ける人に対して、
「誰でもいいので、一度、
自己PRを誰かに見てもらうことをおすすめします。
第三者の目から見てもらえば、おかしな点を指摘してもらえるし、長すぎたり短すぎたりすることもなくなりますよ」とアドバイスしている。
「大雑把→細かいことにこだわらない・柔軟性がある」「心配性→仕事を慎重に進める」など、短所を長所に言い換えるテクニックはさまざま。
面接で嘘をつくのはNGだが、自分の性格を良く知り、これらのテクニックを上手に駆使すれば、きっと良いアピールができそうだ。