毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「思わず笑っちゃう?!介護現場での勘違い」という話題について紹介します。
笑えるものから濡れ衣まで、介護施設での勘違い
勘違いというのは誰にでもあるもの。
時に80歳以上も年の離れた人間同士が触れ合う介護の現場では、様々な勘違いも日常茶飯事だ。
都内の介護付き有料老人ホームで働くホンダさんは、入居者のちょっとした見間違いにより、危うく“犯人”のレッテルを貼られかけたという。
クレームにヒヤリ「料理の中に●●が!!」
「昼食の配膳を終えて一息ついていると、90代の女性の入居者から呼び出しコールが。
スタッフが急いで駆けつけると、食事に問題があったというクレームでした。
女性は『料理にゴキブリが入っていた』と言い、『お皿を並べたのはホンダさん』と、すっかり私は犯人扱いです。
もちろん細心の注意を払っていますが、食べ物を扱う以上、混入の可能性はゼロではなく、『クビかも……』と思いました。
しかし、女性のもとへ行ってお皿を確認すると、彼女がゴキブリだと騒いでいたのは
ひじきで、ただの見間違いだったんです」
と、ホンダさんは語る。
職員が裸で草刈りしてる?!
年齢を重ねれば、小さなものや遠くのものがハッキリと見えなくなるのは仕方のないこと。
まったくの濡れ衣により、“問題職員”になりかけたスタッフもいる。
ホンダさんと同じ施設で働く30代の男性・エトウさんは、「本当なら大事件」という事態に陥りかけた。エトウさんがいう。
「ある日、施設の中庭で雑草を刈っていた時のことです。
一段落をつき、更衣室で汗を拭いていると先輩に呼ばれ、『エトウ、お前、どんな格好で草刈りしていたんだ?』と問い詰められました。
質問の意図がわからず、『長ズボンとTシャツですけど……』と答えると、
『裸じゃないよな?』というのです。
私はその日、ベージュ色のチノパンを履いていたのですが、ある入居者のおばあさんには裸に見えたようで、大騒ぎになったのでした」
映画の話で大盛り上がり!のはずが…
一方で、介護職員によるこんな笑える勘違いもある。
訪問ヘルパーとして働くタナカさんは、映画のことでとんだ珍騒動に巻き込まれた。
「利用者の方とおしゃべりをしていて、私が『君の名は。』という映画が面白かったと話すと、その方も『面白かったわ』と言い、その話ですっかり盛り上がったんです。
しかし何か月か後、テレビで昭和特集の番組を見ていると、戦後に大流行したラジオドラマが紹介されていて…。
『君の名は』というタイトルのラジオドラマが大流行したということを知りました。
そこで初めて、入居者の女性とまったく違う『君の名は』について話していたことに気づきました。
そのことを家族に話すと、『よく会話が成立したな』『相手の話をまったく聞いてなかったんだろ』と散々バカにされましたが、雑談は30分ぐらい盛り上がったんですよね」
いささか乱暴な結論だが、お互いが楽しく話せたのであれば、それはそれで良いことだ。
大変なことではあるが、こういった勘違いに誠実に対応するのも、介護職の大事な仕事。
勘違いが既成事実にならないためにも、日頃から信頼関係を築いていくことが大切だとも言えそうだ。