毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「介護は偏差値とは無関係?」という話題を紹介します。
受験の指標は「偏差値」、就職の指標は?
「受験」と「就職」は人生における大きな試練だが、大きな違いの1つが偏差値の有無。
受験には偏差値という明確な指標が存在するが、就職には偏差値が存在せず、より多角的な視点で評価してもらえる。
都内の高校で働くOさんは、勉強が苦手な生徒たちと向き合うことで、偏差値では計れない「生徒の素晴らしさ」を認識したそうだ。
授業はボイコット、計算もできない高校生たち
Oさんは都内の大学を卒業後、都立高校の教員に採用され、今年で教員生活は23年目。
これまでいくつもの高校で教壇に立ってきたが、30代の頃に赴任にした高校は、いわゆる“底辺校”と呼ばれる学校だった。
中学で難関私立校に進学し、ストレートで難関大に合格したOさんにとって、底辺校の生徒との出会いは、まさに「未知との遭遇」だったという。
「とりあえず、授業が始まるベルが鳴っても、クラスの半数ほどが席に着かず、授業中でも常に何人かの生徒が廊下を歩いています。
生徒の中には、アルファベットが書けない子や、分数がわからない子もいて、高校3年生でも中1レベルの授業内容を理解できない子がゴロゴロいました」
ヤンキー高校の生徒が見せる「優しさ」
今では絶滅しつつあるが、当時Oさんが勤めたその高校は、俗に言う“ヤンキー高校”。ケンカやバイクなどの校則違反で退学になるものも少なくなかったそうだ。
ただ、勉強ができない彼らにも良い点があったとOさんはいう。
「彼らは確かにボキャブラリーが少なく、粗暴な面もありますが、理屈抜きに行動できる点はとても好感が持てました。
例えば、公園で泣いている子どもを見かけたら一緒に遊んであげたり、交通事故の第一発見者になったら救急車を呼んで、病院にまで付き添ったり。
彼らの行動には
良い意味で計算がありませんでした。
理由を聞いても、
『だってかわいそうじゃん』としか言いませんし」
そんなOさんは、身内に介護関係の会社で働く人間がいたこともあり、生徒たちの就職の際には、積極的に介護施設での仕事や介護関係の会社を勧めていた。
すると、介護業界で働き始めた“ヤンキー高校”卒業生たちは、仕事で良い結果を出しているという。
介護に必要なのは「共感できること」
「私はその高校に3年しかいませんでしたが、彼らは良くも悪くも喜怒哀楽がハッキリしていました。すぐ怒るのは褒められませんが、一緒に喜んだり、悲しんだりできるのは、立派な才能です。
お年寄りと触れ合う介護業界では、
相手に共感できることはとても大切なスキルだと思います。
勉強が苦手な子は、自分の頭の中でイメージできない仕事を嫌う傾向があります。
その点で、お年寄りの世話をする介護の仕事は、イメージがしやすいので抵抗がないようでした。
生徒の中には、介護施設に見学に行った際に、おばあさんの話を聞いてポロポロ泣き出した子もおり、感性の純粋さには驚かされました。
私が偏差値一辺倒の指導を改められたのも、彼らとの出会いがあったからです」
「相手に寄り添う心」が介護の仕事にマッチ!
資格や知識、テクニックはもちろん大事だが、介護に携わる上で最も大切なのは、
お年寄りの気持ちに寄り添うことだ。
学生時代、勉強が苦手だった人は、学歴や偏差値にコンプレックスを抱きがちだが、偏差値などは所詮、学生時代の指標の一つ。
Oさんによれば、介護業界へ就職した生徒は、他の業種に進んだ生徒より離職率も低いそうだ。
公開日:2019/9/23
最終更新日:2020/2/26
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