生命保険の営業の仕事に疑問を感じ始めたA・Fさんは、介護に目を向けます。ヘルパー2級の研修を受け、有料老人ホームへ。根っからの仕事人は、介護業界へのスタートが遅かったことを挽回しようと、訪問介護ステーションにも所属して、一度に2つの職業を経験します。周囲に期待され、新たな仕事人生が花開いていくAさんの転職直後のお話を、どうぞお読みください。
*A・Fさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
A・Fさん(41歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…3年半
●介護の仕事に就く前…生命保険会社の営業
●転職回数…3回
●いままでの勤務先…有料老人ホーム、訪問介護、デイサービス
●保有資格…介護職員基礎研修(*)
*2012年度末に廃止。現在の実務者研修にあたる
無料の講習を受け、老人ホームに転職
生命保険の営業を離れ、いったいどんな仕事が人の役に立つ仕事なのだろう……。何の知識も持っていなかったので、とりあえずハローワークに行ってみました。
介護の仕事のことは、頭によぎっていました。ハローワークから申し込むヘルパー2級の講習は無料で、資格を得てホームで仕事ができる、ということも、行ってみてわかりました。でも、あいにく、私が行ったときにはちょうど講習がない時期。どうしようかと考えてしまいましたが、やはり介護の仕事は、「人の役に立つ」仕事です。「次の仕事はこれかな」と思い、調べるうち、介護施設を運営する法人が主催するヘルパー2級の講座を受け、その後その法人のホームで働くことが決まれば、講習料が無料になる、という情報を得ました。それなら、まずは講習を受けてみよう、と思いました。
この学校がすごくよかったんです。高齢者の方々をひとりの人として、尊厳を持って接することや、その方たちがよりよい生活をするためにサポ―トするということを学び、感動しました。特別養護老人ホーム(特養)に10日間研修に行くほか、デイサービス、訪問介護、障害者施設にも実習に行き、福祉はどうあるべきかを、実地で学ばせてもらいました。
中でも、認知症についての学びにハマってしまって。認知症の方と接する中で、その方らしさに触れ、その方らしさを大事にするケアを自分がしていきたい、と思うようになったのです。そして、講習を主宰する法人の有料老人ホームに就職することになりました。
家から自転車で通え、子どもを配慮して夜勤もなし
そこは、家から近くて、子どもが放課後に私に会いに来られるような距離でした。しかも、子どもが遊びに来るのを歓迎してくれるところです「利用者さんにとっても、子どもの来訪はありがたいんですよ」とまで言ってくれて。それに、「子どもが小学生なので、夜勤はしたくない」と話したところ、夜勤なしの契約社員にしてくれる、というのです。ここ以外にない、と思って、就職させてもらいました。給料は以前よりずっと安くなりましたが、そんなことは問題ない、と思えました。
勤めてみると、その有料老人ホームのスタッフは若手が多く、みんなバリバリ働いていました。夜勤なしで子持ちの自分が、若い人たちに追いつくのは大変なのではないか、と心配になりました。生命保険会社では優秀な営業職として認められていましたし、ここでも有能だと思われたい、そんな思いもありました。
それで、別の事業所に訪問介護のヘルパーとして登録し、あいている時間は極力、訪問介護の仕事に就くようにしました。ホームで働いていると、在宅介護がわからない。将来、この業界でなんらかのリーダーになろうとするなら、この経験が大きく生かされるだろうとも思いました。
忙しくも充実した日々。介護の実務もどんどん吸収できました。私が勤務していた有料老人ホームは、入居金が1000万円以上の高級と言えるところだったので、ていねいな介護が学べました。訪問介護では、高齢者の方のリアルな暮らしに寄り添う技術を学べました。毎日が新鮮で、楽しかったですね。
生命保険会社のときは、契約をいただくためにどんな要望も伺う、という思いをにじませて仕事をしていましたが、もっとピュアで純粋な気持ちで働ける。高齢者の方々の笑顔と包容力に包まれ、むしろこちらが癒されるような気がして。以前と比べれば、気持ちの点でずっとラク、まるで趣味で働いているような気にさえなっていました。
しかし、有料老人ホームの日々は忙しい。利用者様がそれぞれお好きに過ごされるので、リビングにいる方、お部屋で過ごす方、いろいろです。あちこちに目を光らせ、どなたにも絶妙なタイミングでトイレ誘導やオムツ替えをし、事故がないように気配りするのは、とても大変でした。時間帯によっては、運悪く24人を1人でみることもあり、これで何のトラブルも起こさずやれるかどうか、自信がないな、と思い始めました。
こんなに高いお金を払って入居されているのに、手薄になっていることも申し訳なくて。それに、常にギリギリの人数で回すので、体力的にもとてもつらい……。そこで、転職サイトで見た有料老人ホームに勤めることにしました。今度こそ、腰を据えてがんばろう、と思って1年。すると、思いがけないお話が飛び込んできたのです。
次回は、デイサービスの幹部として引き抜かれたAさんの体験談をお伝えします。
*A・Fさんの「私が転職した理由」…
1回目、2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
●先輩たちの職場選びの失敗事例に学ぼう
→ 「こんなはずじゃなかった…」 転職先選び 私の失敗談
●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●
介護求人ナビの求人数は業界最大級! エリア・職種・事業所の種類など、さまざまな条件で検索できます