医療から介護の世界に戻ってきたものの、夜勤続きの勤務で疲れ果て、退職してしまったOさん。
夢が打ち崩されたようで、一時期は気持ちが沈んだといいます。
しかし、ケアマネジャーの試験を受けてからまたモチベーションを上げていきます。
最終回の今回は、ケアマネジャーの今と将来の夢について、お伝えします。
*O・Nさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
O・Nさん(42歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…14年
●介護の仕事に就く前…リハビリテーションクリニックのスタッフ
●介護業界での転職回数…5回
●いままでの勤務先…デイサービス、居宅介護支援事業所
●保有資格…社会福祉主事、介護福祉士、介護支援相談員
ケアマネジャーとして力を尽くす
その年の6月に退職してから猛勉強し、10月のケアマネジャーの試験に合格しました。
試験勉強があったとはいえ、現場と離れていたので、そういう意味では休養ができて、また介護の世界に戻る気持ちになってきました。
この頃、以前のデイサービスでの同僚が、居宅介護支援事業所を開いたということで、「あなたに来てほしい」と言ってくれました。
うれしくなって、二つ返事でOKしました。
もともと、頑張るタイプなので、ケアマネジャーとして利用者さん宅を訪問すると、のめり込んでしまうんですよね。
なんとかこの方のために、と感情移入して、夜でも訪問してしまう。
土日も終日動き、それが楽しいと思っていました。
ところが、働き始めてから3、4カ月たって、担当する利用者さんが増えてくると、にっちもさっちもいかなくなってしまいました。
最初からうまく自分のパワー配分をしないといけなかったですね。
それでも体力に任せてできるだけ訪問し、ケアマネジャーとしての経験も増やし、慣れていきました。
ですが、あるとき在宅診療時代に知り合った仲間から連絡をもらいました。
「居宅介護支援事業所とデイサービスの経営をしようと思うんだ」と。
「すごいね、がんばって。デイにはだれか紹介できる人がいればするね」などと話していると、「あなたに来てほしい」と言うのです。
びっくりしました。
子ども、障害のある人……ケアの視野を広げて
今いる事業所に不満はありません。
忙しいのは自分のせいだし、しょうがないと思っていました。
「今のところを辞めるつもりはないから」と言ったのですが、引き下がってくれないのです。「名前だけ連ねるならいいけれど」と言っても、説得されて……。
結局、退職してそちらの経営に関わることになりました。
あれから2年。
経営はそれなりに安定し、なんとかやっています。
40代に入り、業界でもベテランと言われる部類になりました。
けれど、私は「慣れると飽きてしまう」みたいで。
順調になってくると、新しいことをしたくなります。
今は転職という形を考えていませんが、今ある会社で、なんとか新しいことをやりたい。
たとえば、子どもと高齢者の交流です。
ここのところ、子どもたちの放課後デイの必要性が社会で問われていますが、これと高齢者のデイサービスを合体して交流できないか、と思っているのです。
これから総合事業が始まって、デイサービスも要支援のサービスからはずれると懸念されています。
そんな中、介護の世界も変わっていかねばならないと思っています。
高齢者だけを対象にするのではなく、子どもや障害のある方、すべての方がよりよく地域で暮らすためのお手伝いをしたい。
在宅診療にしても、障害のある方の在宅診療のニーズも高いのではないかと思うのです。
あれこれ考えていると、今のケアマネジャーという仕事にとどまらない、新たな仕事にも思いをはせます。
もともと医療から始まったキャリアで、医療と介護を行ったり来たりしていました。
そんな経緯もあって、高齢者介護だけでは飽き足らないのかもしれません。
自分が何に向かっているのか、ちょっともやもやしているところもありますが、「何か創り出すことをやりたい」という思いは止められません。
ケアマネジャーという仕事をベースにしながら、きっと近い将来、新しいことを始めているんじゃないかな、と予感しています。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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