社会福祉士とヘルパー2級の資格を取得し、高齢者施設の相談員として晴れて就職したSさん。「相談員の仕事をする」と思っていましたが、それだけではすみませんでした。会社の方針と、現場の状況の差を感じながらも、職場にとけこむ努力をし、経験を積んでいきます。
*S・Yさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
S・Yさん(35歳)の転職経験
服飾系大学を卒業後、大手アパレルメーカーに就職。6年半勤務
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在職中に夜間の福祉系大学に通い、社会福祉士資格を取得。ヘルパー2級も取得した
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アパレルメーカー退職後、すぐに派遣で1年間、生活相談員。その間に精神保健福祉士資格取得
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大手介護事業者のデイサービス生活相談員として就職、3年半勤務
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社会福祉法人の准職員として2年8カ月勤務。その間にケアマネジャーの資格取得
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住まいに近い地域包括支援センターのケアマネジャーに転職
入浴介助で利用者さんとふれ合う
就職するなら、やはり大手のほうが安心だと思いましたが、精神保健福祉士の資格も取得したほうがいい、と思い、資格取得の条件を整えて勉強もしやすい派遣の仕事がいいかなと思いました。残業がなく、時間が自由になる環境を選びたかったのです。
そんなわがままが許されるのか、働ける場はあるのかとも思いましたが、介護業界は私のように他業種から転職する人も多いですし、どの職場も人の入れ替わりも多いので、なんとかなるだろう、と夜間学校の先生に言われました。実際、教授が私の条件に合うところを知っていたので、紹介してくれ、就職できたんです。
1年間、派遣で働き、翌年、晴れて精神保健福祉士の資格を取得し、それから本腰を入れて就職を考えました。
まずはネットでどんな企業があるのか調べました。その上でハローワークに出向き、経営基盤がしっかりしている大手を探してもらいました。いくつか紹介してもらった中で、ある大手事業者の面接を受け、運良く合格をいただきました。すでに仕事を始めていましたし、自分も面接の仕事をするので、面接試験もあまり緊張せずに受けることができました。ヘルパー2級のほか、社会福祉士を持っていたことも、自信につながっていたと思います。
さっそくデイサービスの部門に配属され、生活相談員として仕事をすることになりました。生活相談員は、これから利用される方に、事業所のことを説明して契約をしたり、利用者さんの困り事を一緒に解決したり。利用者さんに安心感を与えて支援する立場です。上司は、「専門職なんだから、介護の現場には入らなくていいよ。まして君は1年間ほかでも相談員をやっていたのだから、プロだよね」と言ってくれていました。けれど、実際は、忙しい介護職からの反発もあって、現場の仕事にも毎日のように入りましたね。
事業者全体で、「個別入浴をサポートします」と謳っていましたので、デイサービスに来る利用者さんは、入浴が目的の方がとても多かったんです。ですから、利用者さんを入れ代わり立ち代わり入浴介助するのに、とても手間がかかるのです。理念としては、すばらしいのですが、これを最低限の人員でやるのは大変。レクリエーションで楽しんでいただきながら、入浴も満足していただくように、となると目が回るほどの忙しさ。事務所で、事務仕事だけしていると、「忙しいのよ、ちょっと手伝ってよ」とハッキリと言う介護職も多くて。利用者さんのために現場の方とよりよい連携をしてもらおうとすれば、手伝わないわけにはいきませんでした。
結果的に、計画書作成などの事務作業は利用者さんが帰ってからになり、残業に次ぐ残業。利用者さんのご家族との打ち合わせや新規契約の時間も短くなってしまい、利用者さんを増やすための営業活動は、したくてもなかなかできません。それが切実な悩みでしたね。
それでも、入浴の介助に入ることで、利用者さんとお話する機会が多く、とてもいい経験でしたし、実際に楽しかったです。あの時間があったからこそ、利用者さんのニーズもわかりましたし、相談業務にも活かすことができました。
所長とパート介護職とのトラブル。板挟みで…
でも、職場でいざこざが多いことはストレスでしたね。利益を上げたい事業者側の考えを現場に伝える所長と、古くからいるパートの女性たち。両者の意識の違いには、振り回されました。3年半の勤務の中で所長は何人も入れ替わりました。
所長の多くは、他業種から中途採用で入社した人で、介護の知識があまり豊富ではなかったんです。それを盾にとって、「何にも知らないくせに。そんなにたくさん入浴なんてさせられるわけないじゃない!」と主張しすぎるパートさんたちの言動にも、正直、うんざりで。もう少し歩み寄れないのかなぁ、と思っていました。でも、口を挟むと、自分のところに火の粉がかかりそうで、あまり言えなくて。中には、パートさんとのやりとりに疲れ、うつ病になって休職する所長さんもいたんですよ。
転職を考えたのは、そうした職場環境にも理由がありました。でも、一番の理由は、結婚ですね。社会福祉士の資格を取得する際に夜間大学にスクーリングにも通ったのですが、そこで彼と知り合ったんです。お互いに仕事に慣れたら結婚しようということで、3年越しの付き合いの後に結婚しました。でも、いざ結婚しても、家事がほとんどできませんし、夫婦の会話もなくなってしまって。もう少し余裕のある生活がしたくなったんですね。
入社して3年半で退職し、もう少しラクな職場で働こうとか考えて、就職先を探し始めました。
次回は、自治体の社会福祉法人に非常勤で就職したときの様子をお伝えします。
*S・Yさんの「私が転職した理由」…
1回目、2回目、
3回目、
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