週1~4日のパート勤務を中心に介護のキャリアを積み、介護福祉士、そしてケアマネジャーの資格まで取得したEさん。
2人の子どもを育てながら、常にいくつかの仕事をかけもちする、その働き方は目からウロコです。では、いったいどうやって介護業界でキャリアを積んできたのでしょうか。
4回に分けて、ご本人の口からじっくり語ってもらいましょう。
*E・Uさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
E・Uさん(53歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…14年
●介護の仕事に就く前…幼稚園教諭、乳酸菌飲料販売、保険会社営業、クリーニング店経営
●介護業界での転職回数…2回
●いままでの勤務先…訪問介護事業所、小規模多機能型居宅介護
●保有資格…介護福祉士、ケアマネジャー
保険の仕事に不満を持ち、ヘルパー2級を取得
短大の幼児教育学科を卒業して、幼稚園教諭をやっていました。2年で結婚することになり、24歳と26歳で子どもを産んで、その間は子育てに追われていました。でも、上の子が幼稚園に入り、下の子が1歳半になると、働きたくなって。
保育園が備わっている、乳酸菌飲料の販売の仕事を始めました。午前中だけの勤務で、小さい子どもがいても働きやすく、3年ほど続けていました。
けれど、その職場に営業に来ていた生命保険会社の女性に、「もったいないわ。あなたなら、もっと稼げる仕事があるわよ」と、彼女が所属する会社に誘われて。
私もそろそろ、もう少しお給料の多い仕事がしたかったので、下の子が幼稚園に入るのをきっかけに、その生命保険会社に就職しました。
うちは夫が15歳年上で自営業。会社員の配偶者の社会保険料が自己負担になる、いわゆる当時の「年収130万円の壁」も関係ないですし、子どもを大学に行かせることなどを考えると、ふたりできっちり働いていたほうがいい、というのが夫婦の考えです。
夫も育児や家事に協力的なので、生命保険の営業の仕事に本腰を入れました。
当時、バブルがちょうどはじけた頃で、利回りのいい商品がたくさんあり、バブル時代に無造作にかけていた保険のかけかえをおすすめするだけで、ものすごく契約がたくさん取れたんです。
ところが、しばらくすると利回りがどんどん下がって、おすすめしやすい商品も少なくなっていって。8年勤めた頃には、本当に契約を取るのが難しくなってきました。
そんな折、介護保険制度が始まりました。世の中には「ヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修に相当)を取って介護業界で働きましょう」という流れがありました。
ちょうどその頃、地元でヘルパー2級の研修を受けられ、資格が取れるキャンペーンがあることを知りました。
役立つかわからないけれど、「今の仕事に不満があるのだから」と、友人と一緒に研修を受け、ヘルパー2級を取得しました。
保険会社の友人が訪問介護事業所の管理者に
とはいえ、すぐに介護の仕事に就こうとは思っていませんでした。
私には野心があったのです。“会社を経営したい”という。自分の技量に合わせた小さな会社でいいから……。
そんな折、クリーニング店のオーナー店長募集の新聞広告を発見し、「これなら私にもできる!」と思い、飛びつきました。
周囲からは「無茶しないで!」と言われましたが、開店資金の200万円は、廃業するときに返してもらえるというし、店員には近所のママたちが「一緒にやるわ」と名乗りを挙げてくれて。
子どもが小さいと、懇談会や学芸会などもありますが、ママたちと一緒なら、そういうのも融通し合っていける。
ならば、がんばってみよう! と貯金を下ろして開店。それなりにうまくいきかけていました。
すると、ある日、一緒にヘルパー2級を取得した保険会社時代の友人から連絡が。
「Eちゃん、私の職場で人が足りないの。週に2日、1日4時間程度でいいから来てくれない?」
彼女はなんと、訪問介護事業所で管理者になっていました。クリーニング店は順調ですし、私が毎日行かなくても、ママたちがちゃんと仕切ってくれる。介護の仕事もできないことはありません。
ただ、その仕事は、夜勤でした。夜の9時から深夜1時まで。たった4時間ですが、どうしようかと……。
でも考えてみたら、子どもたちにご飯を食べさせ、夫に寝かせてもらった後の時間です。勤務が終われば数時間は眠れ、朝のしたくもできます。
むしろ子育て中にピッタリだと思えてきました。それにあとから気づいたのですが、この仕事、たった4時間なのに、日付をまたぐので、介護福祉士の受験資格要件の日数計算にとても有利なんです。つまり、週2回、計8時間の勤務で4日分の計算になる!
車かバイクで3、4件回り、就寝介助やオムツ交換をするのですが、できるようになるまで先輩が付き添ってくれるというし、せっかく取得した資格が生かせるチャンスだと思い、「お願いします」と返事をしました。おかげさまで、4年後には介護福祉士の資格を得ることができました。
次回は、クリーニング店の経営と訪問介護の夜勤をかけもちするEさんの様子をお伝えします。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
*E・Uさんの「私が転職した理由」…1回目、
2回目、
3回目、
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