グループホームで、介護職の魅力に目覚めたHさん。以後は、「介護職で行こう」と決心しました。はじめて勤めたグループホームの環境がよかったことも要因でしょう。しかし、結婚で住まいの場所が変わり、同時に職場を変えてから、あまりうまくいかなくなって……。3回目は、職場環境と自分の働きたい形とのギャップに悩むHさんの様子をお伝えします。
*H・Tさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
H・Tさん(40歳)の転職経験
工業高校を卒業後、上京してメンテナンス会社に就職
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1年で退職。地元のスポーツ用品店で3年間勤務
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東京に再び上京。宅配ドライバーとして8年勤務
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ホームヘルパー2級を取得。介護職に踏み切れず3年間パチプロ生活
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東京近郊のグループホームに就職。4年間勤務
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結婚・転居のため都内の高級有料ホームに転職。2年間勤務
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派遣会社に登録し、有料ホームの夜勤専門勤務をするが、3ヶ月で退職
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契約社員として、夜間の訪問介護職員に。ケアマネジャー資格を取得
結婚で住まいを引っ越し、職場も変えて
グループホームに就職してから、以前から友人だった女性と、急激に近い関係になりました。パチプロ生活だった頃は、まさか結婚なんて、と思っていました。でも、きちんと就職し、仕事に自信が出てきたら、結婚したい気持ちも沸いてきて…。4歳年下の彼女も30歳を過ぎ、「子どもがほしい」と思い始めたようで、トントン拍子に話がすすみました。そして、結婚前に彼女の妊娠がわかりました。
ただ、彼女は都心に近い美容室に勤務しています。幸いなことに、出産後も時短で仕事をさせてくれるというあたたかい店長。通い慣れ、顧客もいる美容室を離れるわけにはいきません。私のほうが、職場を移るのが理にかなっているのです。
4年間楽しく充実した日々を送ってきた勤務先を変えるのは、とても残念でしたが、しかたがありません。利用者さんたちにもなかなか言えず、退職する当日の朝に打ち明けたときには、不覚にも涙が出ました。利用者さんたちも、残念がってくれました。
介護の仕事のいいところは、どこに行っても仕事があることでしょう。彼女の住まいのそばの有料老人ホームに面接に行くと、すぐに採用されました。
仕事が多すぎて体が参ってしまった
しかし、ここでの勤務は、自分がいままで経験した中で、一番辛かった。高級老人ホームでさまざまなサービスやイベントを売りにしているので、レクリエーションのスタッフがたくさんいるのです。事務スタッフの数も驚くほど多い。しかし、介護職が足りません。パンフレットには「利用者様1.5人にスタッフ1人。最高レベルです」と書いてありますが、これは実際には介護をしないレクや事務のスタッフを入れた計算です。介護スタッフ対利用者さんだったら、4対1ぐらいなのではないかと思うほどでした。
有料老人ホームは、利用者さんが部屋にいることが多いので、部屋を開けてはお世話に行き、時間がかかります。オムツ換えも頻繁で、本当に慌ただしい。やることがあふれ、目が回りそうなのに、事務所では事務スタッフが優雅にお茶を飲んでいる。だんだんイライラしてくるのです。
また、少しでも歩いていただいたほうが、歩行状態がよくなる利用者さんにも、「よろけて転ぶとやっかいだから」と車椅子に乗せてしまうのです。面倒なことはできるだけしない、と決めているようで、利用者さんの健康状態なんて二の次。前に勤務していたグループホームがとても熱心だったので、違和感がありすぎてついていけなくなりました。
しかし、自ら決断するより前に、家庭の事情で辞めることになりました。妻は出産後、「子どもには、両親のどちらかがいつもそばにいてあげる」ことを強く望みました。となると、妻が美容室で働く昼間の時間は、私が育児をするしかない。つまり、私は深夜に仕事をして、昼間は家にいる生活をするということ……?
それなら、有料老人ホームの夜間の介護職になるしかないか――。そう思って、夜勤専門の仕事を探しました。報酬の高い仕事を紹介してくれる介護の派遣会社に登録。派遣ながら、1勤務3万3000円も報酬をもらえます。最初のうちは、うれしくてたまりませんでした。しかし、そうもいきませんでした。
昼間の勤務の人に比べて破格に報酬がいいので、職場で肩身が狭くて、率先してオムツ替えなどをやるなど、気疲れしてしまって。そもそも1日の勤務時間が14時間。すごく長く、当然、体も疲れてしまって、翌日はただ横になってゴロゴロするだけ。
とはいえ、娘の面倒も見なければなりません。十分な睡眠もとれずにがんばっていたら、あるとき、起き上がれないほどの疲労に襲われました。
夜勤専門に加えて、日中は育児。当時すでに30代後半の私には、やはり無理でした。3ヶ月であきらめて、違う職場を探すことにしました。
次回の最終回は、もっと自分にあう働き方を見つけたHさん。将来の夢や未来も語っていただきます。
*H・Tさんの「私が転職した理由」…
1回目、
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