介護業界で転職を考えている人にとって、採用側が求める人材がどういった傾向なのか、ぜひ知っておきたいこと。今回は千葉県で地域密着型の介護施設「請西苑」などを展開する社会福祉法人天祐会の副理事長・本部長である森田恵さんにお話しを伺いました。
<取材・文 中条佳子>
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職員が利用者の優位に立ってはいけない
「請西苑」の採用を担当している社会福祉法人天祐会副理事長・本部長の森田恵さんに、採用したくない人について伺ってみました。
「まず『賃金が安くても仕事をしなければいけないから』とか、『介護の仕事しか就職できないから』という理由は採用が難しいと思います。それと、『自分が世話をしてやっている。困っている人を助けてやっている』という押しつけがましい考え方の人もダメですね」(森田恵副理事長・本部長)
困っている人を助けるということは、
第一回で森田さんが語った「ボランティアスピリットがある」ということと混同されそうですが、それ以前に職員が利用者の優位に立ってはいけないということが基本。そこをはき違えている人が非常に多く、かつ採用してからわかることが多々あり、採用は試行錯誤の連続だそうです。
「明らかに、どこの企業でも採用されなかったと思われる方もいますし、ご利用者サービスのことなどまったく気にせず、ただ、将来有望業界だからという理由で面接に来る方もいます。何かあると明日からもう来ませんという、こちらを困らせてやろうという態度の人もいます。でもその人が来なくなって困るのは施設の利用者のみなさんです。そういう人がいるからこそ、良い人材は宝だと心から思うことができます」(森田恵副理事長・本部長)
介護の仕事が向かないなら、それを見極めてあげることも大事
介護業界の転職のサイクルの早さについても、森田さんは語ります。
「この業界では、同業を転々とする方も多いと思いますが、経営サイドから言えば、できればひとつの施設で長く働いていただきたいと思っています。でもこの業界が合わないという人を無理にひきとめてしまうことで、うつ病になったりしてしまう例がたくさんあります。そうなる前に、向かないなら向かないと経営サイドが見極めてあげることも大事だと思います。流動的で転職が早いというのはこの業界の宿命かもしれませんが、それでもこの施設がよいと思う人は、結果長く勤めてもらっています」(森田恵副理事長・本部長)
そのほかにも、「過去の自分を否定する人。自分を大切にしない人」、「『福祉は対人サービス業』という感覚のない人、「コミュニケーション能力に欠け、雰囲気の暗い人」、そして「仕事に夢をもてない人。夢を語れない人」を、採用したくない人としてあげていました。
では逆に「仕事に夢をもつ、夢を語る」ということはどういうことなのか――最終回の次回は、その点について詳しく伺ってみます。
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