介護の仕事は、利用者の生活に寄り添う仕事。人として成長することもでき、他の仕事に代えがたい魅力があります。しかし一方で、肉体的・精神的なストレスは少なくありません。介護特有の仕事のストレス、人間関係のストレス、給与や体力への不安…
介護福祉士・心理カウンセラーの篠雅行さんがアナタのお悩みにアドバイスします。
今週のお悩み事例
ひとしさん(25歳 特別養護老人ホーム)
特養で介護職をしています。職場の介護スタッフとはコミュニケーションが取れているのですが、看護師さんとの関係に問題があります。
その看護師は、私の意見は何も聞かず、「(利用者さんの)褥瘡がひどくなっている!」「ちゃんと介護しているの?」と一方的に文句ばかり言います。そして、あれをしろこれをしろ、と命令するんです。利用者さんの気持ちや介護職員の事情などお構いなし…。なんだか見下されているような気がして腹が立ちます。
と言っても、できれば上手くコミュニケーションを取って、仕事の連携ができればと思っているのですが…
篠さんからのアドバイス
ひとしさん、日々のお仕事おつかれさまです。
看護師は、施設では利用者さんを医療的な面で支える専門職。ドクターが常駐していない介護施設では、ご意見番的な立場です。
それゆえ、中には「看護師は介護職より偉い」、「看護師の方が特別な仕事をしている」という意識でいる看護師もいると思います。もちろん、そうではない看護師もたくさんいるのですが。
私が一緒に仕事をしてきた看護師の中にも、ひとしさんの職場の看護師のような人もいましたし、介護職員と同じ意識で仕事をする人もいました。
しかし、どちらにせよ看護師はその施設においての「医療のプロ」。医療面において、大きな責任を背負っています。
では、介護職員は何でしょう?
介護職員は利用者の幸せのために介護を行うプロです。
看護師も介護職員も、それぞれ専門性のある仕事です。なので、本来ならば上下の関係ではなく、横でつながる関係でなければならないと思います。
もし看護師とひとしさんの関係が、上下関係になっているのであれば、横のつながりに変えて、
上手く連携を取る方法を考えなければいけません。
そう変わるための私からのアドバイスは、ひとしさんが介護のプロとして、看護師に提案することです。
利用者に直に接している介護のプロとして、
「こうしたら利用者が幸せになると思うが、看護師としてはどう思うか?」
という提案をしてみてはいかがでしょうか。
以前の私は、ついつい「看護師=偉い」という意識が抜けず、いつも「どうしましょうか?」と責任を看護師に丸投げした物言いになってしまっていました。
ひとしさんの場合はいかがでしょうか?
普段から看護師に「こうしたいけど、どう思うか?」「こういう状況だから、こうするけど、どう思うか?」というように、「私もあなたと同じ責任を背負っています」と伝える態度が大事だと思います。もちろん医療的なケアが必要な時の判断は看護師に任せますが、それ以外では介護のプロとして、提案します。
提案を退けられることもあると思います。だからといって、提案をやめてしまうことは、介護のプロとして、利用者さんのことを考えているとは言えません。また提案するためには、看護の勉強も必要になってくると思います。ひとしさん自身が看護・医療面についての知識も高めていくことで、看護師との連携がもっと円滑になっていくと思います。
介護のプロとしての意識をますます高め、看護師との関係を変えていってください。
それは、利用者さんの幸せにもつながり、さとしさんの成長になります。応援しています!
プロフィール
篠雅行(しの・まさゆき)
老人ホームや在宅介護事業所、障害者授産施設で介護職を務めるなかで、介護業界で働く人を精神的にサポートしたいと思い、カウンセラーの勉強を始める。介護福祉士、認定心理士、一般社団法人心理技能振興会 心理カウンセラーの資格を持つ。
公開日:2015/4/2
最終更新日:2020/1/15