■書名:DVD シナプソロジーで高齢者はつらつ! 脳いきいきレクリエーション
■著者:シナプソロジー普及会
■発行元:西東社
■発行年月:2014年3月5日
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「脳を混乱」させるプログラム「シナプソロジー」で、利用者の脳を楽しく活性化
「シナプソロジー」という言葉を初めて聞く介護職も多いのではないだろうか?
簡単に言うと「脳を混乱させ、活性化させるプログラム」だという。脳への刺激が少ない生活を続けていると、脳機能は低下してしまう。そこで視覚や聴覚などの五感を通して、脳に新しい刺激を与えていく。慣れない刺激が与えられると、脳は間違うことが多くなり「とまどう」「できない・困った」といった混乱状態に陥る。しかし、それに対応しようと考えているとき、脳は活性化しているのだという。
「シナプソロジー」の効果については、下記の点を挙げている。
●認知機能の向上、認知症の予防
●高齢者の健康増進、ストレス緩和
●コミュニケーションの一環になる
実際にスポーツクラブや大学の研究機関によって効果は検証されている。ある研究では、注意力が高まり、判断力が高まるといった脳機能の向上、爽快感の向上、疲労感や抑うつ感の低減なども見られたという。
本書ではプログラムを5章に分けて解説。全部で25種類のエクササイズを紹介している。
一章は、導入篇として「やってみよう!はじめてのシナプソロジー」。二章の「座ってできるシナプソロジー」を経て、三章では体を動かす「立って行うシナプソロジー」に進む。四章では、お手玉などを使う「道具を使って行うシナプソロジー」、五章では、複数人で楽しめる「ペアやグループで行うシナプソロジー」を掲載している。
初めてシナプソロジーを行う利用者にぴったりな「相違じゃんけん」は、指示者が出すじゃんけんに、あと出しで違うものを出すというもの。「計算じゃんけん」はじゃんけんに点数を付け、指示者のじゃんけんと自分の出すじゃんけんを計算する。そのほか、右手と左手で異なる動きをする「指計算」「指数えグーパー」、腕で時間を示し、脚で分を示す「全身時計」、お手玉を指示に合わせて動かしていく「空と海」など。
手先だけではなく、全身を使うもの、道具を使うもの、とさまざまなプログラムが紹介されているので、利用者の体の状態に合わせて提案することができる。
またすべてのプログラムは、内容に沿った「基本の動き」から始まる。それに加え、さらに脳を刺激する「スパイスアップ」が用意されており、ステップアップするごとに難しくなるという仕組みだ。
こちらも利用者のレベルに合わせて選択できる。プログラムは簡単な要素で構成されているので、利用者に応じてアレンジもしやすいのではないだろうか。
本書には、インストラクターがシナプソロジーを指示するDVDが付録についている。利用者にうまく説明できるか不安な介護職でも手軽に導入できるのもポイントだ。1つのプログラムにかかる時間はわずかなので、ちょっとしたすき間時間でも取り入れやすい。
<このプログラムの特徴は、どんどん難しくなっていくということではなく、新しい刺激に対応していくということなのです。脳は新たな刺激に対応していくことで活性化すると言われていますので、"できること"よりも、できなくても適度に脳が混乱している方が効果的なのです>
利用者と実践しようと思ったら、その前に、まず介護職が挑戦してみることをおすすめしたい。最初は簡単に思えるエクササイズも、レベルアップするごとに難しくなり「頭が混乱する」ことや「脳をフル回転させたあとの爽快感」も実感することができる。
<松原 圭子>
著者プロフィール
シナプソロジー普及会(シナプソロジーふきゅうかい)
2011年11月に発足した「シナプソロジー」の普及を目的とした団体。現在、スポーツクラブや介護福祉施設をはじめ、ジュニアスイミングスクール、アスリート、幼稚園、一般企業、介護予防事業など、幅広い分野へのシナプソロジー活用を推進している。