■書名:思わず解きたくなる脳のための毎日テスト
■著者:デイサービスたまや
■発行元:自由国民社
■発行年月:2015年1月30日
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デイサービスのスタッフが高齢者目線で作った、利用者に大人気の脳トレ問題を紹介
世の中には「脳トレ」と銘打ったドリルが山ほど出ている。しかし、実際に介護施設で利用するとなると、高齢者が楽しみながら進んで取り組めるものがなかなか見つからない。そう感じている介護職員も多いのではないだろうか。実は本書が作られたきっかけも、まさにそうした悩みからだったと言う。
本書は、愛知県名古屋市にある介護施設『デイサービスたまや』で実際に使われ、利用者に大人気の脳トレ問題を一冊にまとめたもの。掲載された脳トレ問題は、スタッフの手作りだ。
もともと『デイサービスたまや』では、空き時間に利用者が楽しめるようにと既存の脳トレ問題をプリントして渡していたと言う。しかし既存のドリルは、認知症を考慮するあまり問題が簡単すぎたり、漢字や計算の脳トレには興味を示さない利用者が多かったり、高齢者に馴染みのない言葉が出題されていたりと、いろいろ使いにくい点があった。
<ならば、「私たち現場の介護職員の知識を生かして、より、高齢者の立場に基づいた脳トレを作ればいいのでは。どの脳トレ本よりも喜んでもらえるのでは」と考え、作成したのがこの本の問題のプリントです。>
スタッフたちが高齢者目線で作った脳トレプリントは利用者の反応も良く、すっかりデイサービスに定着。進んで問題に取り組んでくれる人も多いと言う。
そのプリントをまとめた本書に掲載されているのは、次の4種類。難易度が高い問題には、ヒントも用意されている。
●文字並び替え問題
並んでいるカタカナの文字を並び替え、意味のある言葉にする問題。
3文字~7文字と増えるにしたがって難易度が高くなっていく。
例)メ ズ ス → スズメ
ジ タ シ ャ ク オ マ → オタマジャクシ
●穴あきしりとり
二人でしりとりをしているように、空欄に入る3文字の言葉でしりとりをしていく。
●言葉探し
ランダムに並んだ文字の中から、意味のある言葉を探す問題。
魚、虫、花、国名など、各問題の設定にしたがった言葉を探していく。
●対称画
図形問題。左右対称となる画を完成させる。
実際に本書を見ていると、思わず解きたくなる。まさにタイトルどおり。どれも設定が単純でわかりやすいので、自然と脳トレを始めてしまうのだ。また、ところどころに、利用者の年代を配慮したと思われる俳優や歌手の名前、時代劇にまつわる問題などもあり、なるほど高齢者目線というのはこういうことかと納得できる。
この脳トレ問題をデイサービスの空き時間に解いてもらうことで、利用者に起こった変化についても紹介されている。その一部が以下のような内容だ。
●以前に比べて、会話の内容を理解する力がついた。また、問題を解くことがご本人の自信につながっている。
●利用者様同士で問題を見せ合って、お互いの問題を助け合うことで、コミュニケーションが取れている。また、他の方がどんな問題を解いているのかが気になり、他の方に関心を向けるようになった。
もちろん効果には個人差があるだろうが、利用者が積極的に問題に取り組み、さらにコミュニケーションツールの一つにもなっていることが伝わってくる。
最後の章には、読者が問題を作れるように空欄になったページもついている。本書の問題を参考にしながら、自分たちのアイデアで、施設に合った問題を作ってみてもおもしろいのではないだろうか。
<小田>
著者プロフィール
デイサービスたまや
愛知県名古屋市守山区にある、民家を活用した空間でデイサービスを提供する介護施設。認知症の進行予防を目的としたプログラムを数多く取り入れ、個人の能力に応じた個別ケアを実施している。本書に掲載されたテスト問題は、「デイサービスたまや」のスタッフ全員で制作している。