■書名:リーダーシップが変わる9週間プログラム
■著者:嶋田 利広、 尾崎 竜彦、鈴木 佳久
■発行元:マネジメント社
■発行年月:2015年10月1日
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リーダーシップの優劣は性格で決まらない! 性格が優しい上司ならではの組織の動かし方とは
中小企業や介護施設といった慢性的に人材が不足している現場では、管理職としての経験やスキルがなくても、また、周囲が自分より年上ばかりでも、リーダーにならざるを得ないことがある。「性格が強く統率力がある人」や「リーダーシップの教育を受けたことがある人」でなくてもだ。
本書が他のリーダー論やマネジメント論の本と大きく違うのは、ターゲットを「性格の優しい上司」「年上の部下に困っている上司」に限定していることだ。「年上の部下に遠慮して何も言えない」「部下と摩擦や軋轢(あつれき)を避けるため、厳しく指導しない」といった人は多いのではないだろうか。
持って生まれた性格を変えていくのは、なかなか難しい。「性格的にムリ」だと思っている人に、リーダーとしての「あるべき論」を説いても、性格の壁を乗り越えるほどの意識改革はかなりハードルが高い。
そこで、頭ではわかっていても、性格的なことでうまく組織を動かすことができない管理職のために、科学的な手法を用いてリーダーシップが学習できるような内容となっている。
本書は、序章+9章+補講1という構成になっている。1章あたり1週間かけて取り組み、9週間で自らのリーダーシップや組織の雰囲気を変えていくという仕組みだ。
9週間のスケジュールは下記のような内容となっている。
1週 リーダーシップは性格で決まらない
2週 年上の部下の扱い方
3週 他部門を味方につける
4週 部下の叱り方・ケジメのつけさせ方
5週 コーチング会話スキル
6週 部下に任せる仕事と自分の仕事の線引き
7週 ルールを守る部下の育て方
8週 モチベーションを高める「個人面談」
9週 部下が自発的になる「カイゼン」とは?
その中のひとつ「年上の部下の扱い方」の章を紹介しよう。年上の部下の中には、下記のような人も多いのではないだろうか?
●表向きは年下の上司に従順だが、裏では違う行動を取る
●他の部下を丸め込み、上司vs部下の対立構造を作る
●役職が逆転し、やる気を失っている
●期待して採用した人物だったのに、思ったほど仕事ができない
本書では年上部下の"生態"を見極め、具体的にどのようにマネジメントしたらよいか解説。「いくら努力しても、どうしても苦手な年上部下」とのコミュニケーション方法までを網羅している。
各章の最後には、1週間に取り組むべき「コミットメント」(責任ある約束)を掲載。
わかりやすく簡潔に7点のポイントに絞っているので、手帳に挟む、デスクに貼るなどして、いつも意識するように心がければ、モチベーションを保つことができるのではないだろうか。
本書では「リーダーシップの優劣は管理職の性格や年齢に左右されない」と断言している。
<「意志力」「巻き込む力」「支援力」「仕組み構築力」「共鳴力」こそが、今の時代に求められているリーダーの基本的な要素であり、これらの要素をいかに発揮できるかは、管理職の性格や気の弱さなどによって左右されるものではない>
「自分はリーダーという器ではないのに、チームをまとめるなんて」と悩んでいる人にとって、心強い言葉だ。求められているリーダーは、力強くぐいぐい引っ張っていく人ではなく、「部下に考えさせ、納得させるマネジメントができる人」だという。
「性格が優しい上司ほど、マネジメント力に優れている」と著者は語る。性格が優しいからリーダーは無理ではなく、優しいからこそ、リーダーに向いていると考え、自信を持って取り組んでみて欲しい。
著者プロフィール
嶋田利広(しまだ・としひろ)さん
経営コンサルタント歴29年。九州を中心に300社超の中小企業、病院・介護施設、会計事務所のコンサルティング、教育研修を展開。60以上の医療法人・社会福祉法人の人財育成の仕組みづくり、カイゼン活動支援、管理職リーダー教育を実施している。
尾崎竜彦(おざき・たつひこ)さん
経営コンサルタント歴23年。中小企業専門コンサルタント。経営士。宅地建物取引士。「コンサルト・ソーシング」(コンサルティングとアウトソーシングの融合。商標登録済)を柱に、中小企業の経営企画室・営業部・人事部・総務部などの機能を果たすべく組織構築を行っている。
鈴木佳久(すずき・よしひさ)さん
東邦ビジコン代表取締役。主に東日本エリアの建設業や医療機器販売業、小売業、クリーニング業、介護事業への個別経営コンサルティングを行う。主宰する「社長大学」「幹部学校」「店長教室」「営業マン教室」を34年間指導。