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2017年12月07日

不足する介護人材はどう確保する?若者が介護にふれる機会の重要性 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

人員配置基準3:1以上を配置する介護施設が増えている

特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームにおいて、介護保険制度で定めている介護・看護職員の人員配置基準は、3:1です。
しかし、多くの施設で、2.5:1あるいは2:1など、基準配置数を上回る人員配置をしています(*)。3:1では、とても対応しきれないからです。

介護報酬は、3:1という前提で定められています。つまり、人件費は3:1以上の人員配置にすると、施設側の持ち出しになるということです。
ならば、2:1などの実態に合わせた人員配置基準に見直しをしたらよいのでしょうか。記事によれば、その分の介護報酬を引き上げることは、施設側も積極的には望んでいないとのこと。
あまりに求人難が厳しい状態だからです。

介護職の求人難への対応は、潜在介護福祉士の掘り起こし、外国人介護士の雇用、短時間パート職員の活用などさまざまな方策が考えられています。
しかし、なかなか目に見える成果は上がっていません。だとするとまったく違う視点からの方策が必要になるのかもしれません。
そのヒントを、先日、ある有識者から聞く機会がありました。


「兵役」の代わりに「介護」を選択できたかつてのドイツ

それは、ドイツなどで行われている「良心的兵役拒否」から生まれたやり方です。良心的兵役拒否とは、思想信条などに基づき、戦闘や義務的兵役を拒むこと。
現在は、基本的人権として認められている国もあるようです。

ドイツでは、良心的兵役拒否者は、高齢者介護などの社会奉仕活動を代替役務として約1年行うことで、徴兵を拒否できる制度がありました。
ドイツの徴兵制度は2011年に廃止になりましたが、最後の頃には8割の若者が兵役を拒否し、代替役務を選んだとのこと。その人数は年間約9万人に及んだといいます。

つまり、ドイツでは多くの若者が、約1年間介護等の仕事に就いていたということです。この労働力は、当然、ドイツの介護福祉施設にとってはなくてはならないものとなりました。
そのため、徴兵制が廃止になったあとも、国が3万5000人分の予算を確保したボランティア制度に受け継がれています。
このボランティア制度は、義務教育を修了した18歳以上であれば誰でも参加でき、一定額の「小遣い」が支払われるそうです。
参加者は、社会貢献や職業教育のチャンスを広げること、実践的な体験を望むことなどを理由に、このボランティアを選択しています。


介護人材の確保は、これまでと違う方法が必要かもしれない

日本でも、教職課程の中で介護等体験が課せられていますが、それはわずか7日間。
その内容は特別養護老人ホームであれば、施設内の見学、車いすの操作を体験する、施設入所者の話し相手をするといった程度です。いわば、「お客さん」に過ぎません。
しかし1年間、施設で介護の仕事に就けば、介護という仕事への理解も深まり、ある程度介護の実務も身につきます。ドイツでは、この体験をきっかけに介護の仕事を選択する人も出ているそうです。

つまり、この制度は実労働力を確保できるだけでなく、将来の介護職を掘り起こすこともできるのです。
もちろん、ドイツのやり方をそのまま導入するのは難しいでしょう。しかし、これまでとは違う発想での人材確保のアプローチを検討していくことは必要ではないかと思います。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・臨床心理士・介護福祉ライター)>

*介護・保育職員「定員超」多く(日本経済新聞 2017年10月29日)

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