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2020年05月21日

新型コロナで介護従事者も疲弊…。簡単にできるストレスケアを実践してみよう! | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

世界中で介護現場での新型コロナウイルス感染が明らかに

新型コロナウイルス感染による介護施設、介護事業所の苦境が、ようやくマスコミで取り上げられることが増えてきました。
利用者、入所者に感染が起きれば、医療機関以上に厳しい状況になることを、社会に広く知ってもらう必要があると思います。

入所施設で感染が起こると、どうしても集団感染のリスクにさらされます。そして、感染した入所者が増えれば、悲しいことですが、そこから死者も出る可能性も高まります。
あるテレビ番組では、愛知県の高齢者施設関連で20人、群馬県の有料老人ホームで16人、千葉県の介護老人保健施設で13人など、全国の主な高齢者施設の死者数を報じていました。

介護施設での死者は、海外でも注目され、ニュースになっています。
3月には、当時、感染拡大が進んでいたスペインで、介護施設の職員が職場放棄し、感染した入所者を置いて立ち去ったケースについて報じられました。支援のために入った兵士が確認したところ、ベッド上で亡くなっている人もいる状況が明らかになりました(*1)。

痛ましいことです。4月には、スペインでの死者の少なくとも4割は高齢者施設入居者だと報じられています。

5月には、フランスでも死者の約4割が高齢者施設の入居者であることが報じられました(*2)。
介護現場では、医療と違い、マスクや防護服などの資材もなく、感染予防対策が十分にとれないまま、対応を余儀なくされています。PCR検査も受けられないまま亡くなるなど、陽性者が特定できないために隔離もできないまま感染が拡大しているようです。

また、イギリスでは、当初、新型コロナウイルスによる死者数について、介護施設での死者数を、発表した死者数に加えていませんでした。4月28日、介護施設での死者数も合計したところ、実はイングランドとウェールズの死者数の約3割を、介護施設での死者が占めていたことが明らかになりました(*3)。
これでイギリスは一気に死者数が増加。5月10日にはイタリアを抜き、アメリカに次いで2番目に新型コロナウイルスでの死者数が多い国となりました。

日本では、早くから多くの介護施設がこうした事態を想定し、懸命に感染予防に努めてきたと思います。人員も、感染予防の資材も、感染予防の専門知識を持つ職員も不足する中、本当に良く耐え、力を尽くしていると感じます。


自分自身のメンタルヘルスケアも意識して

この状況下で、介護職の皆さんは、気が休まらない日々が続いていることと思います。
気持ちが張り詰めていると、自分がどれほどのストレスにさらされているかに気づきにくくなります。

1日の終わりには、ぜひ自分の心身のチェックをしていただきたいと思います。

《こんな状態は要注意!》
・眠れない、あるいは眠りが浅くなっていないか
・食欲が落ちていないか、あるいは反対に、いつもより食べ過ぎていないか
・頭痛や腹痛など、普段はない身体の不調が続いていないか
・めまいが続いていないか
・過度にイライラしていないか
・気持ちが落ち着かず、仕事に集中できなくなっていないか
・考えても仕方がない不安や心配が頭から離れなくなっていないか
・意欲がわかず、出勤するのがおっくうになっていないか

こんな状態が見られたら、心身を休める必要があります。
といっても、仕事を休むことは難しいことと思います。

それなら、どうか仕事のことを頭から追い出し、楽しいことだけに集中できる時間を作っていただきたいと思います。


仕事から自分を切り離しホッと息をつける時間を

それは、家族と過ごす、好きなテレビ番組を見る、好きな本やマンガを読む、好きなゲームをする、身体を動かすなど、自分が一番リラックスできる過ごし方でよいのです。

そんな時間をとれない、とる気になれない、という状態でしたら、夜寝るとき、その日にあった「良かったこと」「楽しかったこと」を3つ思い浮かべてみてください。

今のような状況の中にいると、悪いことばかりに意識が向きがちです。
しかし、実はどれほど厳しい状況の中にあっても、1日に3つくらいは、楽しい、うれしいと感じたこと、クスッと笑えたことはあるものです。それを見つけ出し、そちらに意識を向けることは、ストレス軽減につながります。

それすらもする気になれないなら、せめて、「今日も一日よくやった」「自分は頑張った」と自分をほめてから眠りについてください

走り続けている今の状況から、気持ちを切り離し、立ち止まってホッと長い息をつく時間を持つ。自分は頑張っているなあと自分を認め、ほめることを意識する。これだけでもストレスは少し減っていきます。

こんな時だからこそ、職場でお互いの頑張りを具体的に言葉にし、ほめ合う時間を持つことができれば、なお良いのですが。
もし職場にそういう余裕があるようでしたら、ぜひ取り組んでみてください。

どうかストレスに負けず、しかし頑張りすぎずに、このつらい時間を乗り切っていただければと思います。
介護の現場で尽力してくれているあらゆる介護職のみなさんに、心からの感謝とエールを送ります。

<文:介護福祉ライター・社会福祉士・公認心理師・臨床心理士 宮下公美子>

*1 介護施設に高齢者置き去り、ベッドに遺体も 新型ウイルスで混乱のスペイン(BBC NEWS JAPAN 2020年3月24日)
*2 【現場から、新型コロナ危機】仏、「死者増加」に苦しむ高齢者施設の実態(TBS NEWS 2020年5月8日)
*3 イギリスで介護施設の死亡急増、政府は病院以外の死者数も発表へ 新型ウイルス(BBC NEWS JAPAN 2020年4月29日)


 

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