毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「飲み会の苦労とうまくいく秘訣」という話題について紹介します。
さまざまな人が働く介護業界。飲み会で文句が出ないお店選びには一苦労!
介護業界の特徴のひとつは、あらゆる経歴の持ち主がいること。
新卒で介護現場に飛び込んだ人、転職を経て介護業界に入った人、長らく専業主婦をした後、久々に(時には初めて)外で働く人など、色々なパターンの経歴の人がおり、学歴もさまざまだ。
それだけ一人ひとりの育ちや生活状況が異なっていると、意外と大変なのが「飲み会」。
都内の訪問介護事業所で働くヤマダさんによれば、事業所で働くホームヘルパーが集まる飲み会を開くにも一騒動なのだそうだ。
「ウチで働いているホームヘルパーは、女性が8割で男性が2割。年齢も幅広く、上は60代後半から下は20歳までいます。
孫がいる女性、シングルマザー、40代で初めて外で働いたという元専業主婦、元自衛隊、作家志望の若者など、感心するぐらい年齢も経歴もバラバラです。学歴も中卒から国立大の大学院卒までいます。
とにかく色々な人がいるので、飲み会のお店を選ぶのも一苦労です」
飲み会の幹事というのは、大体において面倒なものだが、スタッフの年齢や生活状況がバラバラであるヤマダさんの介護事業所の飲み会の場合、どんなお店を選んでも文句が出てしまうという。
「年配の人は、こってりした油ものが多い居酒屋の料理は受け付けませんし、アルコールもほとんど飲まないので、飲み放題も完全にムダになってしまいます。コース料理で冷やしトマトや枝豆などが出された時は、『こんなものでお金を取るなんて』と、怒っていましたね。
かと言って、年配の人に合わせたあっさりした料理のお店を選んだ時は、若手メンバーや男性から『お腹がいっぱいにならない』といったクレームがあがり、お酒も進まないため、飲み会がまったく盛り上がりませんでした」
小さな子どもがいる人からは、「お昼の方が良い」という声が寄せられたこともあり、「いっそ飲み会をやめてしまったら」という意見もあったが、他のスタッフと親睦を図るのも大切なこと。
悩んだヤマダさんがある時、所長に「飲み会の準備が大変で……」とこぼしたところ、あっさりと悩みは解決したそうだ。
費用は全部会社持ちに!飲み会出席率アップで結束力もアップ
「所長は、私の愚痴をひとしきり聞いた後、『分かりました。私に任せて』と言ってくれました。
その後、2週間ほど経った頃に、
『飲み会の件だけど、次にやる時は私に言って。費用は全部会社で持つようにしたから』
と、言われました。所長がオーナーに掛け合ってくれたのです。
費用が会社持ちとなると、食事の内容に文句を言う人もいませんし、出席率も上がって、結束が強まりましたね。
女性スタッフの中には、大衆居酒屋に行くのが初めてという人もいて、『旦那や息子はこんな所で飲んでるのね』なんて、感心している人もいました」
飲み会が開催されるのは年に1~2回程度だが、普段職場では聞けない不平不満を聞いたり、職場では話せないプライベートな話をしたり、二次会でカラオケに行って一緒に大騒ぎしたりすることにより、スタッフ間の親睦は深まり、結果として定着率も良くなったのだそう。
オーナーは当初、飲み会の費用負担を渋ったそうだが、今では「もっと早くからやっていればよかった」と、話しているそうだ。
スタッフ同士のコミュニケーションの場にもなり、仕事の息抜きもできる飲み会は、介護職にとっても大切なのかもしれない。