高齢者施設などでリハビリ専門職として働く「機能訓練指導員」。高齢者の自立した生活を支援する注目のお仕事です。理学療法士、看護師、あん摩マッサージ指圧師などの資格があれば、機能訓練指導員になることができます。
そこで今回は、機能訓練指導員に転職した先輩の失敗談を、介護求人ナビ編集部からのアドバイス付きでご紹介。せっかくの転職を失敗に終わらせないためにも、ぜひ参考にしてください!
《事例1》実務未経験なのに、先輩は忙しくて相談できない。仕事に自信が持てません。
23歳/女性/かすみ
作業療法士をめざし、専門学校を卒業。デイサービスに機能訓練指導員として就職して3カ月目です。就職先のデイサービスには、機能訓練指導員は、他に理学療法士の先輩が一人だけ。そのため実務は未経験なのに、いきなり即戦力を求められ、とまどうばかりです。学校で学んでいないケースが多く、自分のやり方が正しいのかも自信がありません。先輩も忙しそうだから相談もできなくて…。泣きたくなります。
《アドバイス》
高齢者が出来る限り住み慣れた地域で自立した生活を送り続けられるようにと、国は「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。そうした、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制のもとで、高齢者向け施設でのリハビリ職のニーズはより高まっています。
機能訓練指導員として活動するには、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、看護師・准看護師のいずれかの資格が必要。機能訓練指導の専門スタッフは、活躍の場が広がっています。
デイサービスにおいても、利用者の自立支援になくてはならない存在。日常生活を営むために必要な機能の改善や維持をめざし、一人ひとりに合わせたリハビリを行います。そのためにまず、カウンセリングを行い身体の機能を評価し、リハビリの計画書を作成します。そのうえで、計画書に沿って歩行訓練や指先を使った作業訓練、マッサージなどを行います。継続して通う利用者も多く、関係が長期にわたることから、緊密な信頼関係を築き、生活に寄り添ったサポートができる点が特色です。
ところで、デイサービスには、機能訓練指導員を1名以上配置する必要がありますが、それはつまり1名しかいない場合もあると言うことです。
人数が多ければ、先輩から指導を受けたり悩んだときの相談もしやすいのですが、同じ職種のスタッフが少ない場合は、そうはいきません。そのため即戦力が求められるのは仕方がないと言えます。
しかし、最初からなんでも完璧にできる人などいません。一人ひとり異なる利用者に対応する仕事ですから、資格を取ったからといってすぐにベテランと同じようにできるわけではないのです。コツコツと経験を積み、自信をつけていくしかありません。そのためには、知識やスキルを自主的に学び続ける姿勢が必要でしょう。
あなたの職場には、もう一人の先輩がいるとのこと。忙しい職場では、アドバイスを待っているのではなく、遠慮せず、どんどんこちらから質問していく姿勢が大事です。ただ、先輩も教える余裕がないほど忙しいということであれば、まずは先輩のやり方を見て、自分が実践できそうなヒントを探してみましょう。
ほかにも、参考になりそうな書籍を探してみる、講習会やセミナーにも自主的に参加するなどしたらいいかもしれませんね。自分が今の職場で本当に活躍したいのであれば、積極的に知識を吸収する手段を見つけ、それを実践することです。
同じ職種の人が多ければ、周囲から学ぶことができるメリットがあります。しかしその反面、他の職員のやり方に合わせる必要があり、自分がベストと思う方法をすぐに実践しにくい場合もあります。あなたは新卒でまだ3カ月目。一番大変な時期かもしれません。でも、まさにこれから少しずつ慣れて、様子が見えてくる時期でもあると思います。いまの職場でしばらく頑張ってみてはいかがでしょうか?
しかし、状況が改善せず、メンタル的にキツイということであれば、一度退職し、リハビリ病院のようにリハビリ職が多く働く職場で経験を積むという選択肢もあります。もしデイサービスで働きたいということであれば、経験を積んだのちに再度転職をすることも可能です。
もし転職するのであれば、他にリハビリ職のスタッフが何人いるのか、同じ作業療法士は何人か、スキルアップのための研修制度はあるのか、などを面接時に確認するようにしましょう。
《事例2》理学療法士として活躍したいのに、リハビリ以外の仕事が多くて集中できません。
30歳/男性/じゅん
通勤時間がかかる前職の病院から、自宅近くのデイサービスに機能訓練指導員として転職。前職では、医学的な背景を元にリハビリを行えたし、様々な知識も吸収できました。ところが転職先のデイサービスでは、機能訓練だけでなく、食事の配膳や送迎の運転などの業務まで頼まれることが多くて…。理学療法士としてリハビリに集中したいけれど、断ると気まずくなりそうで困っています。もう一度病院に転職すべきか、迷っています。
《アドバイス》
まずは病院とデイサービスにおけるリハビリの違いを整理しましょう。
病院のリハビリは、病気やケガからの回復や機能改善が主な目的。医師の指示にもとづく機能訓練に、理学療法士や作業療法士がそれぞれの専門分野で対応します。介護施設に比べ、幅広い年齢の患者が対象です。
それに対し、デイサービスでは対象の利用者は高齢者がほとんど。身体状況が劇的に改善されるケースは多くはありません。そのため、利用者の症状や疾患とうまくつきあいながら機能を維持し、自立した生活が送れるように支援することが主な目的です。
そのため、病院での「医療リハビリ」に対し、デイサービスなどの介護施設では、「生活リハビリ」がメインになります。食事や入浴、排泄、移動など、生活における日常動作そのものをリハビリととらえる考え方です。そのとき重要なのが、機能訓練指導員による適切な助言と、適切な介助。たとえば、レクリエーションで体や指先を使うのも重要なリハビリ。トイレ誘導の際に、歩行時のバランスの取り方や、腰を下ろすときに手すりにつかまる位置などを助言したり、介助したりするのも仕事の一環です。
そのため、レクの企画や、トイレ誘導・移動介助なども機能訓練指導員の仕事になることが多いでしょう。その際、注意すべき点は、理学療法士や作業療法士が行う介助や指導と、介護職が行う仕事の境目があいまいになりがちなこと。相談にあるように、配膳や送迎の運転は、直接リハビリに関連するとは言えません。しかし、施設によってはそれらを求められるケースもあります。
ただ、そうしたケースも悪い面ばかりではありません。リハビリには利用者とのコミュニケーションも大事なので、より深く利用者を理解するチャンスでもあります。他の介護スタッフとの相互理解にもつながるので、手が空いているときには積極的にお手伝いできるといいでしょう。
しかし、そうしたお手伝いが増え過ぎ、本来のリハビリ業務がおろそかになるようであれば、本末転倒。上司に相談して、業務の区分けをきちんと整理することをおすすめします。また、専門職としての業務範囲やリハビリの重要性を他の介護スタッフに理解してもらうことも大切。そのうえで業務の優先順位を周知しておくと良いでしょう。
とはいえ、あなたが、もし、生活リハビリよりも医療リハビリをやりたいという思いが強いのであれば、医療機関への転職がベターな選択肢かもしれません。この機会に、あなた自身が職場に求める業務や、スキルをどう活かしたいかを整理してみてはいかがでしょうか?
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