介護の仕事は、利用者の生活に寄り添う仕事。人として成長することもでき、他の仕事に代えがたい魅力があります。しかし一方で、肉体的・精神的なストレスは少なくありません。
介護特有の仕事のストレス、人間関係のストレス、給与や体力への不安…介護福祉士・心理カウンセラーの篠雅行さんがアナタのお悩みにアドバイスします。
今週のお悩み事例
りょうさん(特別養護老人ホーム/10年目/介護職/30歳)
現場の介護職を10年以上やっている。同僚や利用者さんにも慕われているし、色々相談もされ、後輩にも信用されているという自負もある。
現在私の上のポスト(主任、係長、係長補佐)は3人いるが、どの人も辞める気配はない。後輩の指導もしたいし、給料もあげてほしい。このままだと昇進できる見込みもないので、転職も考えているが、慕ってくれている後輩もいるので悩んでいる。
篠さんからのアドバイス
りょうさん、日々のお仕事本当にお疲れ様です。
男性の30歳って、将来について悩みますよね。このままでよいのだろうか?それとも転職すべきだろうか?結婚したら今の収入でやっていけるのか?そもそも将来、自分はどういう方向に行きたいんだろう?
悩みは次の悩みを呼び、どんどん複雑になってしまうものです。あらためて、今回のりょうさんのお悩みを整理してみましょう。
(1)今の職場でリーダーとして勤務したいが、ポストがないため難しい。やりたいことは後輩の指導や教育。
(2)将来の方向性がイメージできず漠然とした不安がある。給料の面でも不満がある。
もし(2)が強いのであれば、キャリアカウンセリングを受けたり情報収集をして、自分の将来設計について落ち着いて考えた方がよいかもしれません。介護の業界でも、職種や職場によって、給料の面でもかなり差があります。
(2)の気持ちもあるけれど、(1)の方が重要という場合は、今の環境のままでもやれることはまだあるように思います。
確かに上に空いているポストがないと昇進ができません。考えの合わない上司であれば、やりたいことを阻まれることもあるかもしれません。
私も2年間主任を経験しましたが、主任になると抱える責任の範囲が大幅に広がりました。私の後を次いで主任になった後輩も、環境や責任がこんなにも変わるのか、と驚いていました。それだけリーダーは責任が重く、人に対する影響力もありますよね。
リーダーには、
「肩書きも中身も伴ったリーダー」、
「肩書きだけのリーダー」、
「肩書きはないが本当にチームを動かしている陰のリーダー」がいます。りょうさんは、チームを動かしている影のリーダーかもしれませんね。
チーム運営は複雑なものです。外から見た肩書のままではありません。うまく回っているチームでは、メンバーそれぞれが「役割」を持ち、絶妙なバランスが保たれています。
リーダーがいて、リーダーを支える人がいて、リーダーと異なる考えの人がいて、チームを調整してくれるムードメーカーのような人がいる。家族で言うと、父、母、祖母、祖父、子ども…それぞれ役割が違いますよね。それと同じです。それぞれの個性が発揮されバランスがとれると、良いチーム力が生まれると思います。
今のりょうさんは「リーダーを支える人」かもしれませんね。ちょうど家族で言うとお母さん役。とても重要な役どころです。
リーダーはリーダーでチームを運営することに迷っていますし、後輩は色々悩みを抱えて仕事しています。
りょうさんは、まず後輩の悩みを聞いてみてはいかがでしょうか?
そしてリーダーに後輩の悩みを解消できる提案をしたり、リーダーの考え方を下に伝えたりして、りょうさんが後輩とリーダーとのクッション役になる。そうすると、チームからさらに必要とされる人になるのではないでしょうか?
りょうさんの活躍は、その上の上司も見ていてくれるはずです。もしそうでなくとも、その職場での経験は必ず次の職場で活かされることになるでしょう。
参考になれば幸いです。
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プロフィール
篠雅行(しの・まさゆき)
老人ホームや在宅介護事業所、障害者授産施設で介護職を務めるなかで、介護業界で働く人を精神的にサポートしたいと思い、カウンセラーの勉強を始める。介護福祉士、認定心理士、一般社団法人心理技能振興会 心理カウンセラーの資格を持つ。
公開日:2014/9/4
最終更新日:2019/6/19
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