■書名:笑う門にはいい介護
■著者:中村 学
■発行元:風詠社
■発行年月:2013年11月28日
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元お笑い芸人が綴るイライラを乗り越えた先の介護の世界とは……?
世間一般の人々は、「介護」と聞いて、まず何をイメージするだろうか。
「人の役に立つ・喜ばれる」「高齢者に学ぶ点も多い」といったプラスイメージも多いが、「介護うつ」「介護地獄」「老老介護」「介護心中」といった暗いイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
そんな風に、介護の暗いイメージに疑問を投げかけているのが、本書の著者の中村学さんだ。
中村さんは、東京吉本興業のオーディションに合格し芸人となるが、母親の介護のために帰郷したという経歴を持つ。もはや生活の一部となっている介護が、人から笑顔を奪ってはいけない、と介護を楽しむための講演や執筆活動を行っている。
しかし、現在そのような活動を行っている中村さんも、母親の介護を行っていたときは、その生活にストレスがたまり、優しい対応ができなかったり、罵声や暴言を吐くこともあったという。精神的にボロボロになり、介護する方もされる方も苦しい「介護地獄」も体験している。
そのようなイライラのコントロールができない状況が続く中、ある出来事をきっかけに少しずつ冷静に対応できるように変わっていく。
本書では、中村さんが介護の仕事に携わりはじめてから、介護福祉士の資格を取得し、施設長になった現在までの、さまざまな介護エピソードを収録している。
介護地獄で苦しむ中、どうやって冷静さを取り戻すことができたのか、それによって周囲はどう変わったのかが、飾らない言葉で綴られている。
また巻頭には、中村さんの幼なじみである司会者の宮根誠司さんも企画に関わった、介護を要する人のための旅行ツアー「快GOツアー」のドキュメントも収録されている。
<介護をしなくてはならない状況にはイライラはつきものだし、悩みもたくさんあります。でも、介護をしてみなくては得られない楽しさや面白さ、感動もたくさんあります>
<今、介護に苦しんでいる方にこそ、”イライラを乗り越えた先にある介護はまったく別な感覚の介護!”と伝えたいのです>
本書内には、「徘徊の 距離を競って 辛さ自慢!」「挨拶で みんなふらつく 井戸端会議」など、介護をお笑いで吹き飛ばすような小見出しも多く並ぶ。
介護の仕事に疲れた時に読むと、気持ちが楽になり、新たな気持ちで仕事に向き合える一冊ではないだろうか。
<松原圭子>
著者プロフィール
中村 学(なかむら・まなぶ)さん
高校卒業後、役者の世界に入り、その後お笑いに転身。東京吉本興業のオーディションに合格してお笑い芸人となる。母の介護のため島根県に帰郷後、介護福祉士の国家資格を取得。ケアマネジャーの資格も取得し、現在「かじ山荘デイサービスセンター」(島根県大田市)の施設長を務めている。