■書名:介護は最高のサービス業だ ~デイサービス開設方法~
■著者:松長根 幸治
■発行元:ギャラクシーブックス
■発行年月:2015年9月30日
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独立の夢が芽生えたときに役立つ、激動の介護業界で生き抜くためのガイドブック
全人口の4人に1人が75歳以上という超高齢社会の到来が目の前に迫っている日本。高齢者が増え続けることから、介護業界は成長産業のひとつと言われるが、一方で事業所の増加による競争が激化している。介護の担い手不足も深刻だ。
わずか10年の間に、デイサービスのスタッフから複数の介護事業所を運営する経営者となり、成功を収めてきた著者。本書は、その著者が自らの経験を基に、デイサービスを運営してみたいと思う人へのアドバイスを綴った一冊だ。
第1章と第2章では、著者の介護との出会いから、独立・起業までの体験談が語られる。
そもそも介護を始めた理由は、実は「独立起業しやすい」と思ったからだという。社会貢献の気持ちや、お年寄りが好きでお世話をしたいからといった理由からではないというところがおもしろい。しかも、介護の仕事を始めるまでは高齢者が嫌いだったと、正直な胸の内も書かれている。
しかし、介護の現場を知ろうと飛び込んだデイサービスで、様々な利用者と出会ったことが著者の意識を変える。「こんな素晴らしい仕事はない!」と気づいた著者は、改めて介護を一生の仕事にしようと考え、「独立して、自分の目指すべき介護事業所を作ろう」と決意するのだ。
そんな著者の独立までの道のりも興味深いが、なんといっても本書のメインテーマは、第4章「開設準備具体策」と第5章「新規利用者獲得戦略」だろう。さすが、介護経営のコンサルティング事業も行っている著者だけあって、デイサービスの開設準備からオープンまでを具体的に、そして詳細に解説してくれる。
たとえば第4章の開設準備の項目には、市場調査から物件の立地、種類、間取り、備品、求人媒体、送迎用車両の購入に至るまでが、事細かく掲載されている。しかも、著者自身の経験をベースにした視点から、重視するポイントやチェックすべきポイントが語られ、リアリティがある。一例を挙げると、次のようなアドバイスだ。
<私が調査項目で一番注目するのは『競合デイサービス数とその種類』です。(中略)私の経験上、その地域にデイサービスが多いか少ないかの目安として一つだけ注目している数字があります。それは『居宅介護支援事業所数とデイサービス数の割合』です。>
第5章では、開設前の営業方法が紹介される。
いいスタートを切るためのポイントとして著者が指摘するのは以下の3つだ。
●居宅介護支援事業所への営業は、オープン日前までに最低3回行く。
●送迎範囲のエリアより少し遠い居宅介護支援事業所にも営業に行く。
●オープン日2週間前までに内覧会を必ず行う。
さらに、どのような営業を行うか、内覧会の注意点、パンフレットの作り方など、具体的な解説が続く。
実際にデイサービスを開設したいと思っている人にとっては、まさに至れり尽くせりのガイドブックと言えるだろう。
<激動の介護業界で生き抜くためには、常に自己改革に努め、ご利用者のためにどのようなサービスができるか・喜んでいただけるかを考え抜き行動に移した事業者だけが勝ち残ります。私の持論である「介護は最高のサービス業」。このことを実感できた方は必ず成功できると思います。>
また、独立や施設運営など意識したことのないという人にとっても、本書は、自分たちが携わる介護というものを「事業」という視点から見つめ直す良いキッカケになるのではないだろうか。
目先の業務にとらわれてしまうと、著者が言う「最高のサービス業」としての介護の素晴らしさが見えなくなることもあるだろう。そんなときに開いてみてはいかがだろうか。
<小田>
著者プロフィール
松長根幸治(まつながね・こうじ)さん
1977年生まれ。高校卒業後、音楽活動に携わったのち2007年介護業界に飛び込む。管理者、統括責任者を経て、2009年独立。2010年から介護コンサルティング業を開始。デイサービスや訪問介護の開設支援、経営コンサルタントで全国20社以上を顧問。自社ではデイサービス3ヵ所、訪問介護2ヵ所、居宅介護支援事業所1ヵ所、障がい者訪問介護2ヵ所を経営している。日総研出版株式会社の隔月誌「デイサービス」「訪問介護」などにも寄稿。