24年度介護保険法改正の審議は、年末のとりまとめに向け、居宅介護支援費の自己負担導入や2~3割負担者の拡大など「給付と負担」について今後本格化していく。
制度の持続可能性を高めるため、給付抑制や利用者・被保険者のさらなる負担を求めるもので最も注目を集めるテーマだ。
厚生労働省は、9月26日の社会保障審議会介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大学法学学術院教授)で、第1ラウンドとして、同部会が前回改正で「継続検討」としたもの、政府や財務省から検討を求められているものなどを指摘事項として挙げた。年末にかけて、各項目を議論し、継続検討や見送りも含め結論を得るものとみられる。
この日、厚労省が説明したのは(1)被保険者範囲・受給権者範囲 (2)補足給付に関する給付のあり方 (3)多床室の室料負担 (4)ケアマネジメントに関する給付のあり方 (5)軽度者への生活援助サービス等に関するあり方 (6)「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準 (7)福祉用具貸与のあり方の見直し――の7項目。(7)以外は前回改正時にも検討された。
(3)多床室の室料負担は、老健や医療院、介護療養病床でも、特養同様に多床室の室料を給付対象から外すかどうか。
実施されれば、多床室入所者の負担が増え、その分の多床室の基本報酬が引き下げられる可能性がある。
(4)ケアマネジメントに関する給付のあり方では、居宅介護支援費への利用者負担導入を検討。
前回改正時も、「入口での利用控えに繋がる」「他サービス同様に利用者負担を求めるべき」など賛否は分かれ、「利用者やケアマネジメントへの影響を踏まえながら、幅広い観点から引き続き検討することが適当」とされていた。
(5)軽度者への生活援助サービス等に関するあり方は、要介護2までの生活援助サービス等の地域支援事業への移行が焦点。
財務省が強く求めているが、「総合事業の担い手不足もあり、現実的でない」など反対意見も多い。
(6)「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準は、2~3割負担対象者の拡大の是非が審議される。
10月から後期高齢者医療制度で2割負担者が拡大されており、高齢者のさらなる負担増を懸念する声も挙がっている。
<シルバー産業新聞 2022年10月10日号>
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