毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「介護業界 週休3日制の現実味」という話題について紹介します。
ますます進む「働き方の多様化」。介護業界では…?
終身雇用や年功序列が崩壊し、フリーターや派遣など、働き方の多様化が進むなか、昨年後半からにわかにピックアップされ始めたのが「週休3日制」だ。「ユニクロ」を展開する株式会社ファーストリテイリングが、2015年10月から一部社員を対象に週休3日制を導入。12月には舛添要一都知事が週休3日制の導入構想をテレビで語った。介護業界でも、週休3日制は可能なのだろうか?
労働基準法では、原則1週間につき40時間、1日につき8時間を超えて労働させてはいけないと「法定労働時間」が定められている。
しかし訪問ヘルパーや入居施設勤務のスタッフなどは、利用者の都合や夜勤により、どうしても上述の労働時間が守られないケースが出てきてしまう。
そこで介護事業者の中には、1か月などの単位で労働時間を調整する「変形労働時間制」を採用している所が少なくない。労働基準法では「8時間×5日=40時間」がオーソドックスな勤務時間となるが、これを「10時間×4日=40時間」にすれば、週休3日が実現する計算となる。
介護職の「週休3日制」、どんなメリットがある?
実際、すでに週休3日制を採用する介護事業者も現れている。2015年11月、介護事業を展開するある企業が、週休3日制を試験的に導入することを発表した。これは社員が週休2日か週休3日かを選択できる仕組み。これによって、「よい人材の確保につなげたい」とその介護事業者は答えている。
都内の介護事業所で働くHさんは、週休3日制に対して好意的だ。
「例えば1日あたり10時間働くという勤務スタイルは、やり方によっては非常に有効だと思います。というのも、労働時間が1日8時間だと、利用者の朝昼晩の3食を1人でサポートすることができません。その点、1日に10時間働くのであれば、3食のサポートができるので、人員の効率化が期待できます。
また、週休3日になることで、仕事とプライベートをはっきり区別できるのも良いと思います。介護の仕事は心身ともにハードなため、とりわけ新人などは、オンとオフの切り替えができずに悩むことが多い。さらに子どもを預けて働いている人の場合、週休3日になると、子どもを預ける際の負担が減る可能性もあると思います」
上述のユニクロの取り組みや舛添都知事の発言は、ネットでも大いに話題となり、国民の関心の高さはすでに証明済みだ。人手不足に悩む介護業界が、業務の効率化や人出を呼びこむためのひとつの方策として、「週休3日制」を真剣に検討する余地はありそうだ。
公開日:2016/1/18
最終更新日:2019/4/9